第三部 古都にけぶる月の姫
月の姫、降臨
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
て…
え、ちょっと、この体勢は……
「そ、曹操…」
「暴れるな。落ちてもいいのか」
「そ、そういう問題じゃない…!」
何だってこれから戦場に行くのに、お姫様抱っこされなければならないのか。
私の抗議なんてどこ吹く風で抱え上げ、跳躍した曹操に咄嗟にしがみつく。
すると少しだけ、曹操が笑ったような気がした。
「さて、着いたぞ」
「……赤龍帝が呆然としているように見えるのは、気のせい?」
まあ、気持ちはわかるけれど……だって、退治した相手がいきなりいなくなったと思ったら、私をお姫様抱っこして帰ってくるなんて、理解の外側だろうし。
着地した曹操にようやく下ろされて、地面に立つ。
「……………久しぶり、赤龍帝」
「あ、あの時の…!」
目を見開いて驚いている赤龍帝に苦笑しながら、刀の鍔に指をかけ、一歩前に―――出ようとしたところで、曹操の腕に遮られる。
「赤龍帝とは俺がやる。文姫、君は後ろで見ていてくれ」
「やだ、私もやりたい」
そう言うとすごく大きな嘆息をする曹操。
それに思わずムッとして睨みつけると、こつんと頭を叩かれる。
「いいか、君はここで大人しくしてるんだぞ。何もしなければ特に問題はないはずだ、飛び火したらあっちに跳ね返せばいい。わかったか?」
「そこまで子供じゃない」
私を何だと思っているのか。むくれた私だが、ふと思い出す。
そもそも、私が外に配置されたのは実験の経過が安定するまでの緊急措置ではなかったか。
「でも、大丈夫なの?」
「………君が動かなければ何の問題もないはずだ。戦力的に少し厳しいかもしれんが、いざとなれば俺がフォローすれば済む話だ」
「……ん、分かった」
そこまで言うのなら仕方がない。私は、心苦しいけれど観戦にまわろう。そう心に決め、周囲を見る。
ゲオルクは実験の運用中、ジークは木場祐斗、デュランダルと剣戟を交わしている。数的不利こそあるものの、すでに禁手状態、『阿修羅と魔龍の宴』になって六刀流になっているので問題ないだろう。
ジャンヌのほうもすでに禁手『断罪の聖龍』を発動させ、ミカエルのAと戦っている。多分、大丈夫だろう。ヴリトラは九尾と戦っているようだ。
ヘラクレスの姿はすでに遠くの方にしか見えないが、あの破壊規模から察するに禁手になっているのだろう。私は名称は知らないけれど。
曹操のほうはきっと大丈夫―――その時、ズシュッ!という鈍い音が近くで響いた。
慌てて曹操のほうに視線を戻せば、ちょうど落ちてきた何かを右脇で抱えたところで。その抱えたものに焦点が合う。あれは……左腕…?
曹操の左腕を……赤
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ