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儚き想い、されど永遠の想い
255部分:第十九話 喀血その七

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第十九話 喀血その七

 彼はだ。こんなことを言った。
「ああした。見事な山達まであるのですから」
「山と海」
「本来は相反するものです」
 低い場所と高い場所。その対峙だった。
 だがそれがだ。共にあると話してだった。
 その相反する二つがだというのだ。
「ですが共にあり同時に見られますから」
「そうした意味で、ですね」
「幸せです。そしてそれが見られる私達も」
「神戸と同じく」
「幸せです」 
 その美しいものを見られるだけでだ。そうだというのだ。
 そうした話をしながらまた海を見る。その海は。
 何処までも続いていて水平線はだ。青から白くなっていく空と一つになっていた。
 青い海には銀色の輝きも起こる。その銀も見てだ。
 義正は目を細めさせて。また言った。
「青だけではありませんね」
「海にあるのはですね」
「はい。銀もあります」
「溶かされた宝玉にさらに」
「もう一つ宝があります」
 それがだ。海だというのだ。
「それを考えますと本当に」
「贅沢ですね、海は」
「そう思います。これだけ贅沢なものはそうはありません」
「自然の中にあるものは」
「それだけで最高の芸術である場合があります」
 そうだというのだ。その自然そのものがだ。
 その話をしつつだ。さらにだった。
 義正はだ。海の果てを見つつだ。真理に話した。
「我が国はこの贅沢な海に囲まれていますから」
「はい、全て」
「宝石と銀に囲まれているということになりますね」
「そうですね。海がサファイア、そして波が銀なら」
 そうなるとだ。真理も頷いて言った。
「なりますね」
「はい。それに」
「それに?」
「海の中にはです」
 さらにだ。その中にはというと。
「多くの恵みがあります」
「そしてその恵みが」
「人を生かしてくれます」
 このこともだ。義正は言うのだった。
「無限の恩恵がありますね」
「それが海ですね」
「その海を見ていると」
 それだけでなのだった。
「心が豊かになる気分です」
「清らかになると共に」
「そうなります」
「豊かですか」
 真理はだ。その言葉に心を向けた。
 そうしてだ。こう言うのだった。
「私は今までそうは」
「思われなかったですか」
「今義正さんのお話を聞いて」
 それでだというのだ。
「はじめて思いました。ですが」
「それでもですね」
「そうですね。見ているとですね」
「豊かになりますね」
「そうです。奇麗なものを見ていると」
 それによってだというのだ。心が。
「自然とそうなります」
「そうですか。豊かにも」
「自然とは限りませんが」
 その他のもの、これもだった。

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