第九話 深淵と対峙する時
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ね)
凰香はそう思うが、すぐには動こうとしない。まだ着任して2日しか経っていない。そんな新参者に鎮守府の状況について嗅ぎ回られたくないだろう。
それにこれは艦娘達にとってかなりデリケートな部分も含む。そこを突っついて余計に騒ぎが大きくなるのは避けたいところだ。
(もう少し落ち着いてから聞くことにしよう)
凰香はそう決めると、加賀に言った。
「加賀さん、ここまでありがとうございました」
凰香がそう言うと加賀が深々とお辞儀をしてくる。
それを見た凰香は声をかけようとせずに、お辞儀を解かせようと加賀の肩に触れてから扉を開けた。
「ッ!?」
凰香が加賀の肩に触れた瞬間、加賀が身体をビクッと震わせた。
部屋の中に入ろうとした凰香は思わず立ち止まり加賀の方を向くが、加賀は先ほどと変わらず深々とお辞儀をしたままだ。もしかしたら凰香に触れられることが嫌だったのかもしれない。
(……次からはやめるようにしよう)
そう思った凰香は加賀に一言だけ謝った。
「……加賀さん、先ほどはすみませんでした」
凰香はそれだけ言うと、振り返ることなく部屋の中に入る。
部屋の中には幽体化した防空棲姫、時雨、榛名、夕立の四人がいた。
凰香が部屋の中に入った瞬間、時雨がそばに近づいてきて聞いてきた。
「凰香、一体何があったんだい?」
「初霜にカレーを食べさせたところを潮が見てたのか、弱みを握って無理矢理従わせていると勘違い。そこを加賀が通りかかり、潮を宥めてからここまで『監視』という名目で送ってくれたわけ」
「……なるほど。潮は一回シメた方がいいかな?」
「そうしたい気持ちはわかるけど抑えなさい」
笑顔のまま青筋を浮かべてそう言ってくる時雨に防空棲姫が苦笑いしながら宥める。その光景に慣れた榛名と夕立も苦笑いしていた。
ーーーーガチャリーーーー
突然部屋の扉が開く。
凰香達がそちらの方を見るとそこにはここまで送ってくれた加賀が俯いた状態で立っていた。
「……加賀さん、どうかしたのですか?」
凰香はそう聞くが、加賀は何も答えずに俯いたままでいる。
そのことに凰香は眉を顰め、もう一度加賀に聞いた。
「加賀さん、一体どうしーーー」
凰香が聞こうとした瞬間、加賀が突然目の前にまで歩いてきて凰香を押し倒してくる。突然の行動だったために凰香はなす術なく加賀に押し倒されてしまい、床に後頭部を強打してしまう。一方加賀は凰香の胸に顔を埋め、背中に手を回して抱きついている。表情はわからないが殺気は感じられないため、少なくとも凰香を殺そうとはしていない。
凰香を殺そうとしていないために時雨達はその場から動
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