第九話 深淵と対峙する時
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彼女に関しては私から金剛さんに伝えるから、あなたはちゃんと寝なさいね?」
加賀が優しく語りかけると潮が心配そうな視線を加賀に向ける。そして凰香に穢らわしいものを見るような目で睨みつけてから、再び加賀の方を向いてゆっくりと頷く。そして駆逐艦の寮がある方向へ歩いていった。
潮の姿が見えなくなると、加賀が凰香に言ってきた。
「………さて」
「私は何もしていませんよ。初霜にはカレーを食べさせただけですし、潮は向こうから突っかかってきただけです」
凰香は加賀が聞いてくる前に答える。すると加賀が苦笑いしながら言ってきた。
「それはわかってるわ。さっき食堂で見かけたから」
加賀の予想外の言葉に凰香は黙ってしまう。
凰香はてっきり潮の言葉を鵜呑みにして責めてくると思っていた。しかし加賀の言葉だけでなく、加賀の表情からも凰香のことを敵視しているような感じはしない。まあ、思いだけはわからないが。
(ここの加賀は他のところよりも表情が豊かなのね)
凰香がそう思っていると、加賀が突然背筋をただし改まった様子で頭を下げてきた。
「改めまして、航空母艦の『加賀』です。今後ともよろしくお願いします。
「そして先ほどの駆逐艦『潮』の件、代わりに謝罪しますのでどうか許してもらえないでしょうか?」
「別に気にしていませんので、不問とします」
凰香の言葉に加賀が深く頭を下げてくる。
曙の件で潮の反応はわかっており、こんなことで潮に罰を与えるのもはっきり言って馬鹿馬鹿しい。
それよりも凰香は潮の過剰な反応の原因が気になっていた。
まあそれはおいおい聞いていけばいいので今は置いておくことにする。
「それでは私はそろそろ部屋に戻らせてもらいます。私がここにいては皆さんの迷惑になるでしょうし」
「そう。なら私もお供させてもらうわ」
凰香の言葉に加賀がそう言ってくる。言葉ではああ言ったが、どうやら加賀も凰香のことを信用していないらしい。おそらく凰香が変な真似をしないように見張るつもりのようだ。
すると凰香の思っていることを見透かしたかのように加賀が言った。
「私が近くにいれば他の子達が怪しまずにすむでしょ?」
加賀の言葉を聞いた凰香は一理あると思った。
凰香が単独で行動していれば艦娘達は凰香のことを警戒して向こうから突っかかってくるだろうが、加賀が近くにいれば艦娘達は凰香が変な真似をすることができないと思い込み、向こうから突っかかってくることはなくなるだろう。
凰香は加賀に言った。
「……好きにしてください」
「わかったわ。じゃあついてきて」
加賀がそう言って凰香達の部屋がある方向へ歩き出す。凰香も加賀の後を追
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