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儚き想い、されど永遠の想い
254部分:第十九話 喀血その六
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第十九話 喀血その六

 そのうえでだ。こう二人に言ったのだった。
「今回だけです」
「では」
「いいんですね」
「はい」
 また二人に言った。
 そのうえでだ。義正にふと言った。
「あと義正様」
「私に」
「お嬢様、いえ真理様の御主人ですから」
 それでだというのだ。彼に。
「もう私に他人行儀はいいです」
「では」
「私もまた。佐藤様と同じく」
「ごく普通に」
「お話して頂ければと思います」
 これが婆やの彼への言葉だった。
「それを御願いします」
「そうですか。それでは」
「はい、それでは」
「では婆や」
 あらためてだ。義正は婆やに話した。
「今回だけはね」
「わかりました」
 婆やは今度はにこりと笑ってだった。二人をドライブに送るのだった。
 こうして二人は義正の運転でだ。それで神戸の町を巡った。そうして最後に来たのは。
 海辺だった。須磨の海だ。またここに来たのだ・
 そしてそこでだ。義正が言った。
「最後はですね」
「ここで、ですね」
「海で」
 こう真理に言うのである。
「最後は過ごしたいと思いまして」
「海を見てですね」
「神戸には素晴しいものが多くあります」
 義正はその海を見ながら話していく。
「その中で特にです」
「海はですね」
「私は一番好きです」
「そうですか。それは」
「真理さんもですね」
「はい」
 その通りだと。真理は微笑んで答えた。
「海は好きです」
「そうですね。これだけ奇麗な海は他にはありません」
「こうして近くから見る海もいいですが」
 そのだ。青い傍にある海がだというのだ。
 そのえうでだ。真理は義正にこんなことも話した。
「離れた場所から見る海もです」
「お好きですか」
「白い砂浜から見る近くの海と同じだけ」
 それとだ。同じだけだと言ってだ。
「離れた場所から。緑と花々に囲まれです」
「そして見る青い海喪ですね」
「好きです」
 その海は頭の中で思い浮かべながら。義正に話した。
「どちらも同じだけです」
「そうですか。では今度は」
「その海をですね」
「一緒に見ましょう」
 これが今の義正の言葉だった。
「確かに。離れた場所で見る海は」
「はい、その海は」
「まるで。サファイアを溶かした様に」
「何処までも濃い青で」
「それで輝いていますから」
 だからだというのだ。
「見るだけで心が清らかになりますね」
「そうした美しさです」 
 それがそこから見る海だというのだ。
「ですから是非です」
「今度はですね」
「神戸は本当に幸せな町です
 また神戸について話してだった。義正は今度は。
 自分達の後ろを振り返る。そこにあるのは。
 山だった。山は緑、そして白だ。
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