産土神
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から厄介払いの口実にしちまおう』ってのもあるんだろうな。有体に云ってしまえば俺の今の状況は…ちょっとした言葉尻を取られ、曰く付きの土地と僅かな手勢を押し付けられてハブられた…という感じかねぇ」
「玉群はそれでいいが俺とか鴫崎とか、とんだとばっちりなんだが!?」
「そうだねぇ…今回の事に関しては、悪かったと思う。…夢での『自分』はどうだった?いささか、取って付けたような帰属意識に満ち溢れてなかったか」
「あぁ…そういえば、気持ち悪いくらいに仲間仲間した内容だったなぁ」
「やはりねぇ…奴はかなり強引に、お前らの無意識領域に『玉群神社』への帰属意識を組み込んでいるねぇ。恐らく夢に出て来た連中は、我知らずここに足を運ぶようになるだろう。自分でも不思議なくらいにねぇ。小梅が無断でここに来てしまったのも恐らく、そういうことよ」
「え…?そ、そういうのって普通、奉にだってもう少しちゃんと通告がないのか?大事なことじゃないのか?」
「通告ならあったよ、一方的にねぇ」
―――俺も、その夢を見てんだよ。
夢を渡った事がある俺とお前だけなら、偶然…ということもあるだろうが。
そう呟いて奉は久しぶりに、途方に暮れたようなため息をついた。神である奉が俺達を振り回すように、同格、もしくは格上の神格が『奉』を振り回すということもあるのか。普段なら『ざま見ろ、俺達の苦悩を思い知れ』と揶揄ってやるところなのだが…俺達もがっつり巻き添えを食らって振り回されている。笑えない。
「…俺達、どうなるの」
「多少…やばいかもしれん。気を付けろ。あの縄張り意識の塊のような産土神が自分の土地を手放し、手勢までくれてやるってのは何か裏があるねぇ…」
「気を付けたらどうにかなるのか?」
「……ならない、かねぇ」
そこに、口の周りを白ひげにした小梅が戻って来た。奉は少し屈んで、小梅の口の周りを拭いてやる。高い位置で結んだお団子が、機嫌よさげにポヨポヨ動いている。…俺の腰より下で。
「俺達はこんな祟り神に関わって自業自得だが、小梅まで…こんな小さい子供まで巻き込まなくてもなぁ…その神様ってのは、慈悲も分別もないのか」
屈んでいる奉の表情は俺からは見えない。ただその表情を写し取ったかのように、小梅が笑っていた。
「どの地にも産土神はいるが、毎日のように事故は起こるだろ?人は人を殺すし、理不尽な病気や虐待で幼い子が死ぬ。…つまりそういうものなんだよねぇ。そもそも神格に人と同じ慈悲やら分別を求めるなよ。あるのは精々、好き嫌いだ」
「神様に慈悲を求められないんじゃ、何に求めりゃいいんだよ…」
思わず天を仰いでしまった。…俺、変な死に方するんだろうか。
「―――仕事、するかねぇ」
奉が、ぽつりと呟いた。奉くんも、ハッピーセットにするでしょ?ね?と小梅が目をキ
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