産土神
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い。いまハッピーセットがプリキュアだから」
「………そっすか………」
電光石火の早業で幼女の世話を押し付けられて茫然と立ち尽くす俺。突然の幼女の襲撃に明らかに動揺する祟り神。そして…
「あー、これなに??」
奉が落とした見取り図を、目敏く見つける幼女。
「そっ…それは」
「あ、わかった!たんていさんのひみつきちだ!…すごーい、トランポリンと、てつぼうがある!」
「あぁ、それはちょっとした冗談というか…」
冗談だったんかい。
「ねーねー、トランポリンのよこに、すべりだいもあると、もっといいよ!」
「……滑り台」
「ブランコもあると、ちょうサイコーだよね!!」
「おい小梅、そのへんで」
「あとね!あとね!おへやのまんなかにチョコレートファウンテンがあってね!!」
「いやちょっと待ってくれそれはさすがに」
「バナナの木とー、イチゴの木とー」
「ちょっ…イチゴは木じゃないぞ小梅!それでも庭師の身内か!」
―――なんということでしょう。
玉群事務所の見取り図に、幼女の無軌道な夢がジャンジャン書き込まれていくではないですか。しかもご本人、事務所をおもちゃランドにする気満々のご様子。祟り神、なす術もなく棒立ちです。
「うーん、この本だながジャマだなー…よし、これをけしてー、ジャングルジムをねー」
「え、そ、いやそれは!小梅、それはちょっとあの、だめだ…」
奉がようやく我に返り、制止に入る。当然だが小梅は聞いてない。
「ジャマな本だなをどかしたらー、おりがみランドと色えんぴつランドもつくれるね!色えんぴつは100しょく!!」
「―――邪魔な本棚」
「お外は寒かったでしょう、小梅さん。ホットミルクをおいれしました」
きじとらさんが、少し奥まった別室から小梅を呼んだ。
「ハチミツ、はいってるー?あとねー、アチアチはいやよ。ホカホカくらい。イチゴあじだと、たすかるー」
色々注文を付けながらも、ホットミルクに釣られて小梅はぽてぽてと別室に駆け込んでいった。
「―――どうしたものかねぇ」
顎に手をあてて神妙な顔で見取り図を睨み、奉は俯いていた。雑に消された本棚近辺にもやもや、と円を描く。本棚と折り紙ランドとの共存方法を模索しているようだ。…アホか。
「小梅の云うこと一々聞く必要ないからな。ここ出る頃にはそんな紙切れの存在自体、忘れているから」
「―――ここを出る」
「厭なのかよ!」
「……今日の朝食は、マックの気分だねぇ……」
「お前ほんとうにキモいな」
「それはともかく、どうしたものかねぇ……」
「だから聞く必要はないと」「その件じゃない」
尚も顎から手を外さず、奉は俯いたまま何かを睨むように目を尖らせた。
「小梅も、縁も、お前と似たりよったりの夢を見ているようだねぇ」
「―――また、あいつら
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