産土神
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の不毛な見取り図談義は、きじとらさんの声で打ち切られた。奉は超面倒くさそうに首を巡らせた。
「誰よ」
「縁さんと、小梅さんが…」
「よっ、お兄ちゃん、結貴くん!」
「あそびに、きたんです!」
奉の掌から、見取り図がはらりと落ちた。
「こないだね、ほいくえんでーおもちつきがあったのね。だからきょうはー、おやすみなの」
要約すると、振替休日だったから今日は保育園は休みだそうだ。…つまり、小梅の説明では何だかさっぱり分からん。
「縁ちゃんは何で小梅と一緒にいるの?今日、学校でしょ」
「うーん…今日、朝練でさ。少し早めに家を出て自転車で中央通りを走ってたらね」
中央通りというのは、この近所では一番賑やかな駅前に続く一本道だ。ちょっとしたコンビニや飲食店が軒を連ねる。
「そしたらさ、まだ人通りの少ない朝の通りをさ、何かぽてぽて歩いてくる子がいたのね。お母さんも連れないで」
「…小梅だった、と」
「ビックリしたよー。小梅ちゃん家の電話知らないから結貴くんのとこに電話してみたらもう、大騒ぎになっててさ。私と一緒に居るって伝えて、お兄ちゃんのとこで預かってもらおうってなったの。結貴くんも昨日から泊まってるみたいだから丁度いいやって。でさ、結貴くん」
「…家に帰るタイミングで、小梅を連れて帰れ、と。朝飯も軽く食わせろ、と」
「わー、すごい。エスパーみたい」
「姉貴の云いそうな事を先回りしただけだ」
軽くムカついてはいるが、この間の『輪入道騒動』もそうだがここ最近、姉貴の心労が半端ない。前回も今回も、生きた心地がしなかったことだろう。面倒だな、とか理不尽だな、とか思わないでもないが、これはもう仕方ない。
「小梅、どうして一人でこんな遠くまで来ちゃったの。ママ心配してるよ」
悪戯した姪を叱るのも叔父の仕事だ。俺は少しだけ目をいからせて小梅を覗き込んだ。小梅は悪びれるでもなく、きじとらさんに勧められた銅鑼焼きをほおばりながら首を傾げる。
「んとねー、奉くんによばれたきがしたの」
「奉!!」
「何故その展開で俺が責められる?」
「――お前が妖しい法力を使って幼女をおびき寄せたんだろう?」
「するかそんなこと、朝っぱらから」
「小梅ね、奉くんちでね、みんなでたんていごっこするゆめ、みたのよー」
「えっ」
俺が驚く前に、縁ちゃんが反応した。
「私も今朝、すごい不快な夢で目が覚めたー」
―――不快な夢。
「あ、あのさ縁ちゃん、それって」
「あーー!!もうこんな時間!一限も間に合わないよ!!」
俺の言葉は縁ちゃんの悲鳴に遮られた。彼女は竜巻のようにターンすると狭い洞を器用にすり抜け、重い岩戸をすらりと開け放って飛び出していった。…銅鑼焼きをもふもふ頬張る幼女を残して。
「結貴くん、小梅ね、マックのモーニングがい
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