産土神
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おちたらしい。…それにしても厭な夢を見たものだ。自分の姪っこつかまえてロリとか。姉貴に知れたら死ぬまでしばかれるわ。しかも奉がらみの知り合い掻き集めて『玉群青年探偵団』ってなんだ。舞台設定も場末のバーが秘密基地って。二世代ほど古いんだよ。自分が嫌になる。
「なにやら…うなされていたようだねぇ」
奉がさりげなく、俺に夢の内容を話すように促す。以前、夢の中に隠れ里を作られ、奉を殺しかけて以来、奉は俺の夢に目を光らせているのだ。
「いや、くだらない夢なんだが…」
こんな馬鹿馬鹿しい夢をわざわざ説明する必要があるんだか分からないが、安心させるために一応話しておく。奉は少しだけ目を見開き、ほう、と小さく息をついた。
「最近のお前の冴えっぷりには、目を見張るねぇ」
「は!?まさかお前やる気じゃないだろうな、玉群青年探偵団…」
「ほう、悪くない名だねぇ、一周回って」
「一周回ってというのはいい意味では使われないからな!!」
俺の存在はまったく無視して、奉は紙に何か図のようなものをさらさらと書き始めた。
「最近、随分と周りに人材が揃ってきたろ。お前や鴫崎のような武闘派から、眼鏡女や今泉のような情報収集に長けた奴から。こいつらが周りにいれば俺は一生楽ができるなぁ、と考えてはいたんだよねぇ」
「お前の楽ちん人生に俺の人生捧げてたまるか!」
「そうなると事務所が欲しいところだねぇ…構想はこんなかんじだ。どうだ?」
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(図ー1 玉群事務所見取り図)
「……おい、殺人現場の見取り図みたいになっているんだが」
「ん?いつもその辺に結貴とかきじとらとか居るだろ」
「いつも居るわけじゃねぇよ!俺達を家具と同じ扱いにすんな!!」
「実はこの間の模様替えは、事務所設立の布石でもあったんだよねぇ…明日あたり、新しくバーカウンター的なものとそれっぽい飲み物が大量に届く」
「それ全部一気に頼んだの!?全部鴫崎が運ぶのに!?鬼かよお前!!」
「いやいや…まだレイアウトがしっかり決まってないからねぇ…ちゃんと決まっているのはバーカウンターくらいのものだ。ところで結貴、さっきの案とは別にもう一つ案があるんだが」
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(図ー2 玉群事務所見取り図2)
「………なにトランポリンとか増やしてんだよ幼児か!!」
思わず見取り図を床に叩きつけた。
「俺が毎日本ばかり読んでいるとでも思っていたのか」
「時にはトランポリンで弾んでんのかよ、20年近くの付き合いで初めて知ったわ衝撃的だな!!」
云いながら、小学校時代に遠足で皆で訪れたアスレチックで、アホくらいあった遊具の数々を完全無視して唯一トランポリンの端っこで無表情に跳ねていた奉の姿を思い出した。当時の俺は一瞬『怖ぇ…』と思った
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