「わたしは……わたしのことが知りたいです」
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たことを返答され言葉に詰まってしまう。確かに先の、NPCの少女の意志が重要――などという言葉は、まさしくキー坊……キリトが言いかねない台詞であり、途端に恥ずかしさがショウキを襲って。そもそも少女の意志が重要と言ったのは、少女がNPCだということまで、ふと忘れていたからこその言葉だというのに。
「……忘れてくれ」
「なんでダ? いい言葉じゃないか……というよりは、あの子がNPCっぽくないってのが正しいナ」
ヤケクソ気味にアルゴから食べた肉を口に入れると――育てたと豪語しただけあって、確かに美味い――先の失言を忘れてほしいと頼むものの、そんなショウキの申し出は無慈悲に却下される。ただし台詞の後半はアルゴの声色もシリアスなものであり、今この状況でもあのNPCの少女が何者なのかを探っているようで。
「オレっちだって本当なら自分の手で情報は掴みたかったが……ま、それどころじゃないってことだナ」
「こっちもだ」
「わたしもです」
「…………」
情報屋として形振り構っていられる売り上げではないらしく、そうした事情は全面的に同意できるリズベット武具店としても、アルゴと二人で苦笑を交わしあっていれば。気づけば同意しているメンバーが一人ほど増えていて、ショウキがチラリとリズを見れば、彼女は上手くやったらしくニッコリとガッツポーズを取っていた。
「わたしは……わたしのことが知りたいです」
「よし! そうと決まればメールすらから、ちょっと待ってなさいねー」
「ああリズ、メッセージにオレっちの名前は出さないでくれるカ?」
「え? まあ、いいけど」
「じゃあその間に、さっさと食べ終わっちゃうか……ん」
ユイ……というよりアスナにメッセージを打つのはリズに任せると、残り少ない肉を食べ尽くしてしまおうと、すっかり焼く係に徹してしまっていた分プレートに箸を伸ばすと。どうも脂身ばかりのあまり好みではない肉に当たってしまったらしく、口内に響き渡る微妙な感覚をお茶で誤魔化してみれば、アルゴが何やらメッセージを打つリズに頼みごとをしていて。
「なんダ、ハズレにでも当たったカ?」
「……まあ」
「なら口直しに……これなんかどうダ?」
「あー、それあたしが育ててるやつ!」
「だ、そうだ……なあ、アルゴ」
「んー? オネーサンに聞きたいこととは、随分と勇気があるナ」
流石はアインクラッドに名を轟かせた情報屋、焼肉の当たりハズレも知っているか――などと、どうでもいいことを思いながら、ショウキは先から気になっていたことを問いかけることにして。最初は情報屋に話を聞いてもらうなんて、お金を取られても知らないぞと、アルゴも冗談めかして笑っていたものの。
「ユイのことも知ってるな
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