「わたしは……わたしのことが知りたいです」
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新クエストだったのね、アレ。ああショウキ、いいわよ。次はあたしが焼くから」
「それと同時に、謎のNPCが現れた……んだけどナ……」
「まさか……」
リズに生肉が入った箱とトングを奪われたショウキの言葉に、焼肉を口に運びながらアルゴはコクりと頷いた。昔の浮遊城の時代に来ていたリズが、存在すらなかったと断言する山が出現しているこの《マロメの村》のように、様々なダンジョンが攻略済みの階層に出現している。それと同時に現れた、謎のNPCとは――
「どうひまひは?」
「……食べながら喋っちゃ行儀が悪いぞ」
「申し訳ありません。サラダと一緒に食べると美味しいです。つまり、最強タッグ、です」
――隣で美味そうに焼肉を頬張っている、黒髪ぱっつんの少女などと。
「疑ってるナ!?」
「あー……いや、別に、なぁリズ」
「ああほらアルゴ、ここら辺の肉は焼けてるわよ」
「……フン。だけど分かってるんじゃないのカ? そのNPCが明らかにオカシイってことはナ」
本当にこの少女がそんな大層な存在なのかと、どうしても考えてしまった疑いが視線となってアルゴに向かってしまったようだが、リズの勧めた肉を取りながらのアルゴの言葉も的を射ていた。名前も設定も記憶もなく、ただ理由もなくどこかに連れていってほしいとクエストとなり、報酬は僅かに1ユルドで連続クエストの始まりでもない。明らかに悪い意味で異質な存在ではあって、黙々ともぐもぐとサラダを食べていく少女の外見に騙されてはいけいのかもしれない。
「だからオレっちもそのNPCを追ってた訳なんだが、そしたら随分と打ち解けてる連中がいてナ?」
「……打ち解けてるというより、餌付けしてる気もするわね……」
「それで?」
「おっと。長くなりすぎちゃったが、要するにナ。業務提携のお誘いだヨ」
「業務提携?」
――さて、要するに。アルゴからすれば情報屋として一山あげる為には、アルゴという情報屋の名前をこの世界に知らしめ、この情報屋は信頼できると思わせる必要がある。その方法として、倍増した新ダンジョンとともに現れた謎のNPCを追っていたわけだが、そこを何やら手なずけた鍛冶屋たちがいたらしく。
「その女の子について分かったことをオレっちに教えてくれないカ?」
「……って言われても、心当たりが、ねぇ?」
ならば今まで謎だった少女の謎を少しばかり解き明かした鍛冶屋に、交換条件を提示して情報を貰うことで、アルゴは噂の少女の謎を解き明かした情報屋というカードと称号がつく。とはいえ当のショウキたちからすれば、隣でもきゅもきゅと焼肉を頬張る少女のことなど、まるで見当もつかなかったが、そこは鼠の方が一枚以上に上手でいて。
「そうだナ。例えば、NP
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