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プロローグ (VRMMO産ソ連が異世界を赤くする話)
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早く動かねばどれだけの被害がでたか……ケレン書記長は責任を擦り付けるつもりか!?」
「スターリン民族人民委員、言葉が過ぎるぞ。だいたい軍部が信用ならんからいかんのだ。今回の責はすべて軍部にある」
複数の人民委員が、そうだそうだ、と唱和した。ようするにケレンたちは軍部をスケープゴートにするつもりだった。
ソ連の最高意思決定機関たる人民委員会議で軍法会議の開催が決まれば、ジュイコーはただではすまないだろう。
「……それが書記長たちの意思ですか?」
「そうだ、モロフィ外務人民委員」
それまで黙っていたグラマラスで妖艶な美女がケレンに問いかける。ため息をつきながら背中の羽を摩る姿をみて、ケレンは違和感を覚える。彼女がこの仕草をするときは碌なことがないからだ。
「だ、そうだリベヤ内務人民委員」
「ウフフ、お馬鹿さんをルビヤンカの地下にご案な〜い」
「な!?」
会議室の扉が突如開くと、武装した国家保安委員会の職員たちが流れ込んでくる。あっという間にケレンたち融和派は拘束されてしまった。ニヤニヤしながら沈黙を守っていたリベヤの鮮やかな行動だった。
「リベヤ! 貴様裏切ったか!」
「はい? 裏切るも何もわたしは最初からあなたたちクズどもの仲間になったつもりはありませんしい」
リベヤは内務人民委員と国家保安委員会議長を兼任しており、国内の綱紀粛正を行ってきた。その手腕は確かで、ケレンの覚えもよく敵対者の情報をあれこれと流してきたのだ。
そのリベヤの裏切りにケレンたちは愕然とするが、もはやどうにもならない。そして、自らの運命を悟ると恐怖に陥る。
「た、頼む。命だけは助けてくれ! 金ならやる!」
「不正に蓄財した金なんて要るわけないでしょお。人間からの賄賂と軍を縮小して浮いた予算を懐にいれるなんて、やっぱりクズね」
「同志レーニンにあの世で詫びてこい」
「くそっ、はなせぇッ!!」
連行されていくケレンたちを冷たい目で一瞥すると、スターリンは、議長席に堂々と座る。
「さて、売国奴ケレンは粛清された。この国難を乗り越えるために我々は挙国し一致しなければならない。そのためにも、私スターリンが新たな書記長としてソ連人民を導くことを父祖レーニンに誓う。異議のある者はいるか?」
「異議なし」
「……異議なし」
「異議なぁし」
人民委員たちからの賛同を得て、保守派・排斥派のスターリンが電撃的に書記長へと就任した。
この知らせは新聞やラジオを通じてすぐさまソ連全土へと伝えられ、ソ連民は新たなクレムリンの主人による新時代の幕開けを感じるのだった。
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