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プロローグ (VRMMO産ソ連が異世界を赤くする話)
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いまだ国家の枠組みは必要とされており、社会主義から共産主義へといかに移行していくかが、ソ連最重要のテーマとなっていた。


 「ファンタジー世界に共産主義とかかっこよくね?」というレーニンの言葉が残っている。


 しかしながら、当初500人しかいなかったのになぜ "共和国連邦" と名乗ったのかは歴史家により解釈がわかれている。ソ連拡大を睨んだレーニンの先見の明をたたえる声もあれば、ノリと勢いに過ぎないと不当に貶める声もある。
 建国500年を経て、1億を超える人口を抱えた今、連邦制がうまく機能しているのは間違いない。レーニンの数ある功績の一つであろう。


「富国強兵の国是を忘れたか! 軍縮のザマがこれだ。同志レーニン以外の人間との融和など土台無理な話だったのだ!」


 だが、500年の時が流れ、レーニンの死後その感情も風化したのだろう。いつしか、レーニンの言葉に忠実な保守派と国防よりも内政を優先する革新派にわかたれ、権力争いをするようになった。


 革新派が政権をとり、軍は縮小された。しかし、建国以来初めての外部の人間との接触から続く混乱振りは、混迷を極めた。
 革新と保守は、そのまま融和派と排斥派に名を変え、その対立は国論を二分しつつあったが、相手――アルメイラ王国と名乗った――の回答がレニングラード奇襲だった。
 幸い撃退できたもののその被害は小さくない。
 ここにソ連と王国の運命は決定づいたといってよい。


「まあまあ、落ち着いてスタリンちゃん」

「カリニー、落ち着いていられるか! この無能どもは同志レーニンのお言葉に背いた挙句、人民を見殺しにしたのだぞ。それと、スタリン言うな! 私はスターリンだ!」

「わ、わたしは見殺しにするつもりなど……」

「貴様ぁ! ジュイコーの出動を妨害しておいてどの口をほざくか!」

「……」


 エルフの少女――スターリンの熱弁が一息ついたのを見計らう。カリニーと呼ばれた茶髪をおかっぱにして柔和な顔をした少女が、スターリンをなだめようとするが一向に収まらない。陸軍人民委員のトゥハウもひげ面を怒りで真っ赤にしている。


 やり玉に挙げられたケレンも黙るしかない。確かに彼のミスだったからだ。ただ、軍部の台頭に否定的な融和派の彼は、どうしても軍を信用できなかったのだ。
 そのせいで、レニングラード救援が遅れたことも理解している。薄くなった額に汗を流しながら、彼はカリニー教育人民委員のとりなしに内心安堵していた。だから、強気の姿勢を崩さずいっそ傲慢に言い放つ。


「だが、だからといって無断出動したジュイコー大将を処罰しないわけにはいかない。命令違反は命令違反。軍法会議を開催する意思は変わらない」

「ジュイコーが素
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