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儚き想い、されど永遠の想い
249部分:第十九話 喀血その一

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第十九話 喀血その一

                     第十九話  喀血
 今度はだ。真理の家の屋敷にだった。
 二人で向かう。その車の中でだ。
 義正は真理にだ。こんな話をした。
「この車ですが」
「これですね」
「父は最近こう言っています」
 ここからだ。話を切り出してだった。
「やがて車を」
「車を」
「日本に何百万台もあるようにしたいと」
「何百万台ですか」
「そう、何百台万台です」
 そこまで多くしたいというのだ。
「誰もが車を持っていて乗れる様な国にです」
「それは」
 真理はそこまで聞いてだ。
 顔を驚かさせてだ。義正、自分の隣の席にいる彼に問い返した。
「御言葉ですが」
「信じられませんか」
「夢の様です」
 そこまでの話だというのだ。
「車を誰もですか」
「はい、そう言っています」
「そんなことができるのでしょうか」
 真理はそのことについてはだ。疑問を抱かずにはいられなかった。
 それでだ。首を傾げさせて義正に尋ねたのだった。
「車が。我が国を」
「はい、覆わんばかりにです」
「何百万台も走るとは」
「信じられませんよね」
 義正もだ。こう真理に言った。
「そうしたことができるとは」
「今の日本では」
「亜米利加ではですが」
 前置きになった。この国ではどうかというのだ。
「既に普通に車が走り回っているそうです」
「何百万台もですね」
「それはさらに増えていっているとか」
「それは亜米利加だからですね」
 あの国だからだと。真理は考え答えた。
「あの国は我が国よりも遥かに大きく豊かですから」
「だからそうしたことができるというのですね」
「違うでしょうか」
「いえ、その通りです」
 亜米利加だからできる。まさにその通りだった。
 亜米利加の国力は圧倒的だった。特に第一次世界大戦が終わったこの時点ではだ。まさに世界の半分程の力があった。その国だからこそだった。
「やはり。あの国はです」
「日本とは全く違いますね」
「日本も確かに豊かになりました」
 義正は今度はこの事実を話した。
「維新から産業を興し」
「そうしてきてですね」
「戦争に勝ち危機を乗り切り」
 そしてさらにだった。
「国際的な地位をあげてです」
「そうして今に至りますね」
「維新の頃とは比べ物になりません」
 そこまで豊かになった。これは事実だ。
 だがそれでもだった。車を何百万台もというとだ。
「それはとてもです」
「できないことですね」
「今は無理です」 
 また事実を話す義正だった。

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