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儚き想い、されど永遠の想い
240部分:第十八話 相互訪問その七

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第十八話 相互訪問その七

「とても奇麗な鏡に」
「鏡。この庭には鏡もあると」
「花と空を映し出す。そうした鏡ですね」
「確かに。言われてみれば」
 そうだとだ。義正もここで頷いたのだった。
「そうした感じですね」
「はい。ですから」
「だからですね」
「こんな鏡もあるのですね」
 真理はまだ自分と義正を見て話をする。
「自然が生み出した鏡ですね」
「自然は。この世で最も美しいものをです」
「生み出しますね」
「人の手によらずに」
 そうするというのだ。自然は。
「それは自然だけができることですね」
「そうですね。それができるのは」
「自然だけですね」
「人は芸術を生み出すことができます」
「そして自然は」
「その自然の中に。美を生み出します」
 それができるのがだ。自然だというのだ。
「こんなことは人にはできませんね」
「人の力には限界がありますね」
「人もまた」
 義正が言った。
「自然の中にありますから」
「人ともですか」
「自然の中にあります」
 義正も鏡を見ていた。そこに映る自分と真理の姿をだ。
 その二人の姿を見ながらだ。また話すである。
「私達もです」
「自然と人は」
「西洋では対立するものとみなしていますね」
「そうした考えにあるようですね」
「そうした考えもあります」
 義正はここではその考えは否定しなかった。だがだ。
 それと共にだ。彼はこの考えをまた話した。
「ですが。私は」
「人は自然の中にあると考えられるのですね」
「人と自然が対立するという考えは」
「その西洋の考えは」
「おそらく基督教からです」
 今の欧州を欧州たらしめているだ。その教えからだというのだ。
「ですがそれ以前の希臘や北欧の神話では」
「それは違いますか」
「自然の中にあり」
 そしてその中でだというのだ。
「生きています」
「かつての神話の中ではですか」
「ですから。私はです」
「人は自然の中にあると考えられるのですか」
「そもそもです」
 義正は話をさらに掘り込んでみせた。
「我が国でもそうですね」
「我が国の神話ですね」
「人は神々と自然の中にありますね」
「あの数多くの神々の中に」
「自然のそれぞれを司る神々の中にです」
 人が生きている、それが日本神話なのだ。
「ですから」
「それでなのですね」
「私は自然の中に人がいると思います」
 ここでだ。自然が完全に主となった。
「その様にです」
「成程。そうなのですね」
「人もまた自然ですから」
 そしてさらに言うことは。

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