続、お蔵入りネタ集
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ならざる嗅覚と執念に、面識のある面々は静かに敬意を表した。彼の足掻きで辛うじて繋がった糸を、オーネストたちは歩んでいるのだ。
「そして問題はそのワープ先……それは天界と地上の合間、星に縛られし神々の盲点。そしてフレイヤでさえ容易に気付くことは出来ない分水嶺……」
一幕置き、オーネストは意を決したように真実を口にした。
「連中がいるのは宇宙だ。魔法で構築した移動要塞を衛星軌道上に乗せて、ずっと俺たちを見下ろしていたのさ」
対し、周囲の反応は。
「ウチュー?エーセー……キドージョー?」
「それは、馬車で何日掛かる場所なのだ?見下ろしていたという事は標高の高い山の上か?」
「移動要塞ってんなら要塞なんだから元から高いんじゃねーの?」
「馬鹿、そんなバカでかいものが動いてたら否応なしに噂になるわ!」
「オーネスト、案内して。わたしちょっと行って見て確かめてくる」
「…………………」
オーネストは膝から崩れそうな自分の体をしっかり支えた己の大幹を内心で褒め讃えた。
「あの、ごめんオーネスト。今のは君の説明の仕方が悪かったと思うナ」
「せやな。地上の子供らは宇宙とか衛星とかなんのこっちゃな話やし」
「成程、宇宙とはアフラも考えたものね。それだと高高度からなんでもやり放題、おまけに今の人類は飛翔靴でフラフラ飛ぶのが限度だもの。まさに今の文明では太刀打ちできない最高の移動要塞よ」
「くそっ、こんな時アズなら二の口なく理解したうえで通訳してくれるものを……!!」
思わぬところで友達の不在が響くオーネストだった。
その後、様々な試行錯誤の末にオーネストは遂に真実を伝える事を諦め、「ものすごい空の上で天界のギリ下くらいにあるので飛んでいける距離じゃない」とか「上の空は海の中みたいに空気がない」とか必要最低限な情報を微妙な嘘を交えながら説明した。
ティオナが「泳いでみたい」と言ったので殴った。泳いではいけない理由を説明するのに更に時間を要したのは余談であり、のちにオーネストはこの日を「人生で一番多くの嘘をついた日」と振り返ることになる。
次回、気分が乗ってまた文章書き始めなければ最終回。
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