続、お蔵入りネタ集
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ップ中という訳だ」
「それは……もしかして殺生石の儀式のような?」
イシュタルがぽつりとつぶやき、春姫の尻尾がびくりと震える。殺生石の儀式は、その詳細を当事者以外は誰も知らないが、生贄と儀式、そして名前の不吉さから幾人かはその言葉の意味を察する。オーネストはそれに少し考え、首を横に振る。
「同じなのは力を得るという点だけだ。仕組みとしては全くの別だな。殺生石は魂を石に押し込め、その石を分割して周囲に渡すことでパワーアップするもんだが、アフラ・マズダのそれはアズを起点に別の場所から力や法則を引きずり出すものだ。殺生石の儀式が狐人の犠牲なしに成立させられないのと違い、アズのそれはアズが生きていなければ絶対に成立しない。逆説的に、連中はアズに死んでもらっちゃ困るという事だ。無論無事とはいくまいが、奴は絶対に生きている」
「つまり?」
「敵の大将はオーネストから力を頂いてるんだから、アズを確保できれば人質救出に加えて敵の戦力ダウンにもなるってことだ」
少なくともここで、アズ救出という明確な目標と正当性が周囲に認識された。
「だがよぉ、オーネスト。あの鎖野郎が生きてるのはまぁいいとして、ソイツがどこにいるのかが分かんねぇと計画は元の木阿弥だ。場所は知れてんのか?」
壁に背を預けていたベートがゆっくり目を開いて問う。返答は早かった。
「場所は知れた。俺たちオラリオの人間や神に感知されず、なおかつオラリオを滅ぼすのに都合のいい、謎の本拠地の場所がな」
「我々に見つけられないというのは分かる話だが、オラリオを滅ぼすのに都合がいいというのはどういう事だい、オーネスト?敵は近くにいるとでも?」
「いいや、敵は本拠地を船のように動かしているという意味だ。あちらの都合のいい時に現れ、一方的に攻撃できる。なんとも都合のいい本拠地を作ったものだ……場所の説明の前に、連中が神出鬼没だった理由も説明しておくか」
フィンの疑問に答えるように、オーネストは懐から大きなコインを取り出す。オラリオで一般的に出回る硬貨ではなく、その面には魔法陣のような複雑な彫刻が施されている。少なくともそれにアイテムづくりに造詣の深いヘルメス達が反応した。
「転移術式……か?」
「驚いたな。まさかそれを完成させ、生体テレポートまで成功させ、おまけにそこまで小型化していたなんて………」
「ご名答。神の力も関与してか、連中はそれを魔法具にまで落とし込んでいたらしい。だから連中は本拠地からオラリオまで一瞬でたどり着ける。道中を気にする必要もない。元が神出鬼没だから兵糧攻めも効かないし隠密行動し放題だ」
「インチキだぁ」
ココのボヤキに周囲も内心で頷く。そんな技術があっては尻尾を掴む方が無理だ。今は亡きラッター・トスカニックの情報屋としての尋常
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