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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
続、お蔵入りネタ集
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てはオーネストのそれは輝いて見えたのです。そして惨めな人生を送っていた自分も、オーネストの近くにいて、オーネストに覚えていてもらえれば、その一度の光さえあれば惨めな過去を忘れて死ねる。もう悔いはないと考えていました。
 ラッターはオーネストに丁重に葬られ、立派な墓を建てられました。

 以下、ちょっと気分が高揚してきたので書いてみる。



「――重要な報告が、いくつかある。傾聴してくれ」

 重苦しい声が館の広間に響く。普段は碌に使われない大きなテーブルや椅子を運び出して臨時会議室と化したそこには、オーネストに近しい人間や主要なファミリアの主神や団長クラスの人間が集まっている。その全員の視線がアキレウス――もとい、オーネストに注がれる。

「まず、俺にとっての懸念事項……アズライ―ル・チェンバレットの生死だ」
「オーネスト様!アズ様は………!!」

 メリージアが震える声で、縋るようにオーネストを見つめる。彼女の両手はリリとマリネッタの小さな手と繋がれ、マリネッタは今にも泣きだしそうだ。リリも懸命に平静を装ってはいるが、足が微かに震えている。
 リリはアズがいなくなった後、オーネストに自分を鍛えるよう土下座して頼み込んだ。それに対するオーネストの返答は、「この短期間で実力をつけるなら、お前の魔法を伸ばすしかない」というものだった。変身魔法シンダー・エラ――その根幹や本当の使い道までを叩きこまれた今のリリはレベル3程度のモンスターの技を全て扱えるという異質な成長を遂げた。それでもなお、彼女の内心は「こんな努力をしてもアズが死んでいたら意味がない」という不安との戦いの連続だった。
 ここでアズが手遅れであれば、もうリリは折れるだろう。だからこそ、アズの悪運を信じて彼女は気丈にもオーネストの言葉を待った。

「単刀直入に言うと、生きている。どんな状態でかは知らんが、少なくとも連中はアズを死なせていない――より正確には、アフラ・マズダの計画を成就させるために『死なせてはならない』」
「ちっ」
「舌打ちは止めなさいフレイヤ、みっともないったらありゃしない」
「うっさいわね殺すわよイシュタル。で?あの黒コートカサカサ野郎を死なせてはならないって何?」
「あいつはアズを中継点に、『あちら側』から力を得るつもりだ。いくら奴が神であっても所詮は数多いる神の一人……全神の滅亡を図るためには別ベクトルの、それこそデストルドウに匹敵する力が必要だった、んだが………」
 
 オーネストはゆっくりと周囲を見渡す。ぶっちゃけ神以外全員が話についてこられていない。というかアズの無事を知って安堵しすぎて何人か既に話を聞いていなかった。後者は見逃してやるとして前者を放っておく訳にもいかない。

「簡単に言うと、アズを生贄に儀式をしてパワーア
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