第三章 敦子、目覚める
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名前を付けていたり、とか。
それとももしかして、自主制作アニメだったりして。
と、先ほどのアニオタ三人組にちょっと興味を持つ敦子であった。
4
あっはっはっはっ
はははははーっはっはっはっはーっ
はっはっはっはっ
あははは
はっはっはっはっはっ
はっはっはっはっはっ
はっはっはっはっはっ
たりらりらり……っと、いけない、普通の声を出しちゃったよ、もう。
沢花敦子は、きりり気を引き締め直すと、再びお腹に手を当て、発声を再開した。
あっはっはっはっ
はははは……
ぬいぐるみなどメルヘンチックなものに囲まれた、敦子の自室である。
ここでいまなにをしているのか。
腹式呼吸での、発声練習である。
ピアノの音頭で、ボロリンはっはっはっはっはっボロリン♪ と、音階を上げていく有名なボイストレーニングがある。
以前は真面目にそれをやっていたのだが、毎日一人でとなるとどうにも味気なく、継続させるには楽しい方がよかろうということで、もっぱら最近は敦子アレンジだ。お題曲を決めておき、それを使って腹式の発声練習をするのである。
いまのは、今週のお題曲。日本で一番売れているRPGの、宮廷BGMだ。
ここでなにをしているのかは、この説明で分かっていただけたであろうが、ではそもそも何故、発声練習などをしているのか。
それは、夢のためである。
彼女の夢は、プロの声優になることなのである。
声優、
敦子にとってこれほどに甘美な響きを持つ職業名は他にない。
英雄とか、精霊とか、なんだか魅惑的幻想的響きの言葉があるが、その二つを混ぜた発音の言葉なのだ。いいとこ取り、より魅惑的に決まっている。
言葉の響きだけでなく、仕事内容を考えても、これほど素敵な仕事はないではないか。
だって、自分ではない色々な人物になることが出来るのだから。
実写ドラマの吹き替えも、舞台の仕事も、大切な素晴らしい仕事だろうけど、最高なのはやはりアニメの声だ。
ドラマなどはやはり現実という縛りから逃れることの出来ない部分があるが、アニメならばそのような束縛から完全に解き放たれて、完全にそのキャラそのものに成りきれる。
そうした点において、アニメに勝るメディアは現在のところ存在しないのではないか。
まさに真のRPGといって過言でない。
そのようなことを仕事に出来るというだけでも、語り尽くせぬくらいに夢が広がるというのに、さらにプロであるからにはファンがいて、交流がある。
ファンクラブを作ったり、サイン会、トークショーを開いたり。
歌を出したりなんかして。
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