第三章 敦子、目覚める
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のはずだったのに、インチキ占いだったあ!」
行きかう他の生徒たちの人目がなければ、唾を床に吐き捨てていたのではないか、というくらいの勢いで、三人の女子たちは口々に罵りの言葉を吐き出しまくっていた。
敦子は、そんな彼女らの会話をまったく聞いていなかった。まったく、耳に届いていなかった。
最初に感じた疑問が、頭の中をぐるぐる回って、それどころではなかったのだ。
でも、いくら考えても疑問の答えが出ることはなく、やがて、ぼそり口を開き、尋ねた。
「なあに、そのイシューズって?」
「いますれ違った、チンドン屋みたいな二年生だよ。学校で有名な、キモオタ三人組。敦子、ひょっとして初めて見た? もう九月なのに見たことなかったの?」
「うん。初めて。でも、どうしてそんなふうに呼ばれているの?」
「言葉から想像つかない? 超をいくら付けても足りないくらいのアニメオタクで、だからプンプン異臭を放っているからだよ。すれ違った時、凄かったでしょ? もあむああん、って」
「特には、感じなかったかなあ」
小難しい顔になって、ちょっと前の記憶を探ろうとする敦子。
そんな、真面目に受け答えしようとする彼女の肩を、橋本香奈はがっしと掴んだ。
「それ敦子の鼻がおかしい! だってお風呂に入る暇があればひたすらアニメ観ているんだから、クサいに決まってるでしょ? アニメ観てない時はパソコンでエロゲームやってんだから。で、お風呂も入ってないんだから」
「仮に毎日お風呂に入ってしっかり洗っていたとしてもさ、でもアニメオタクなんだから、なんか精神的悪臭ってものがあるじゃない?」
「そうそうっ、精神的悪臭。留美、うまいこといった!」
ボロクソである。
「敦子もアニメ好きはいいけど、ああまで堕ちちゃあダメだからね。お風呂に入っているのにプンプン漂いはじめたら、生き物としておしまいだからね」
「はあ……」
それは加齢臭ならぬ、なに臭というのだろうか。
まあいいや。
におい始めたら考えよう。
しかしさっきの二年生たち、楽しそうにアニメの話をしていたなあ。
羨ましいな。
わたしなんか、人生で一度もないもんな。あんな熱く、楽しそうにアニメを語るなんて。語る相手がいなかったし。
ああ、そういえば、なんか聞いたこともないキャラの話をしていたけど、あれもアニメなのかな。
なんだっけ、
カショーほのかちゃん、とかなんとかいってた気がする。
わたしが聞いたこともない作品だなんて。ここ数年のアニメの主要キャラなら、絶対にピンとくる自信あるのに。
つまりは、主要キャラじゃない、ということなのかな。あらすじに名前が出るような、主要な。
単なる女子高生BやCなのに、あまりに萌えてしまったので、勝手に
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