第三章 敦子、目覚める
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混乱がなければならない。論理破綻とか、そういった類のものではないにせよ、柴崎監督の作品としては、やはり整合性がとれてないとしかいいようがないでござる」
「整合性、というよりは、演出上の問題か。作品を見る人への、アラとか、辻褄だな。そのちょっとしたところによって、視聴する者への納得を与えることに失敗してしまっている。そういう意味においては、作り手の独りよがり感は否めない、か」
アニメ作品っぽい話題について、小難しそうな日本語をわざわざ選びながら論議している。
彼らと、敦子たちとが、すれ違う。
敦子は教室側へと避けながら、すれ違い様に、眼鏡の奥で横目をちらり彼らへと向けた。
ぽい、ではなく完全にアニメの話だよなあ、これは。メニーロウ、柴崎変人監督、とくれば「黄昏のインフィニティー」しかない。
ライトノベル原作で、現在深夜放映中のアニメ。わたしも録画して見てる。
ストーリーは面白くないし残酷すぎて大嫌いだけど、好きな声優が何人か出ているから。
「ああ、そうそう、トゲリン、絵のことなんだけどさあ」
一見まともそうな外見の(オカッパ二人に比べて相対的に)、ガリガリ男子。
「絵とは、すなわち仮称ほのかちゃんのことでござるかな?」
「うん。仮称ほのかちゃん、の髪型のことなんだけど、ぼくちょっと考えたんだけど、あれもう少し寝ぐせっぽくさあ……」
歩を踏むたび、彼らの声が遠く小さくなっていく。
須藤留美は足を止め、ため息を吐きつつ背後を振り返った。
続いて、大島栄子、橋本香奈も。
みんながそうするものだから、最後に敦子も、よく分かっていなかったが彼女たちの真似をしてため息を吐きつつ振り返った。
去り行く男子三人の背中を見つめる彼女たちには一様に(敦子除く)、嫌悪、侮蔑、嘲りといった感情が満面に浮かんでいた。
「ああやだやだやだあ! イシューズとすれ違っちゃったよお!」
「フミ先輩から聞いてたけど、ほんっとに、ござるとかいってたあ! やだあ!」
「この前なんかさあ、ニンニンとかいってたよお。いいえて妙だね、とか、確かそん時もいってたあ」
「うぎゃ、キモすぎいいい! 会話で普通使わないよ、そんな言葉」
「アニオタは身不相応に学校なんかこないで、おとなしく家に引きこもってパソコンカタカタ叩いてろ!」
「制服、消毒しなきゃ消毒! ぜーったいに空気感染したあ! オタ菌がっ、オタ菌が、繊維の中にまでえ! それは、いいえて妙でござるなっニンニンッ」
「やーっ。菌を感染さないでえ!。絶対に咳しちゃダメ!」
「あーあ、あとは下校するだけだったのに、最後の最後で最低最悪な日になったあ」
「ほんとほんと。あたし今日の占いは総合運最高
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