第三章 敦子、目覚める
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第二話と、この第九話は、二人だけの長尺の掛け合いが多いので、最近このようによく練習に使っている。
以前の敦子は、その話の全体を再生して、出てくる人物すべての声当てにチャレンジしていた。より演技の勉強になるだろう、と。
でも、実際やってみると、混乱してしまって一人一人への感情移入がおろそかになるし、いつか自分がプロ声優になっても髭面の巨漢戦士の仕事が入るはずもないし、股間蹴られて悶絶してる男性の痛みなんか分かるはずないから真に迫った演技など出来るはずないし。だから最近はもっぱら練習で演じる役を多くても二人に絞っている。
混乱なく演じ分けることが出来れば凄いことだけど、実際、いまの実力では及ばないどころか逆効果なので、まずは簡単なことを完璧にしてから、それから幅を広げていこうと思っている。
まだ十五歳。高校一年生。時間はたっぷりとあるのだから。
少しずつ、コツコツと、だ。ローマの……あれ、なんだっけ。まあいいや。
さて、吹き替え練習が終わると、テレビを完全に消した。
気分が乗るようにBGMを流し、
筋トレを開始である。
まずはストレッチで軽く身体をほぐし、
腕立て伏せ、
腹筋、
背筋、
腕立て体制を維持しつつ、同時に発声練習、
「あーーーーーーーーーーー、
かーーーーーーーーーーー、
さーーーーーーーーーーー、
あーーーーーーーーー」
あいたたっ、昨日も張り切りすぎちゃったもんだから、もう腹筋が痛くなってきたよ。つりそうだ。
でも、まだまだ。
こんな程度の痛みに、負けてなんかいられない。
わたしは、
絶対に……
絶対に、
絶対にプロ声優になるんだから!
頑張るぞお!
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