第三章 敦子、目覚める
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時その瞬間だけ客が入れば、金が入れば、それでいいのか。
さすがにテレビアニメの劇場版は、メインキャストはそのままだけど、ゲストキャラは必ずといっていいほど素人を起用する。
素人が一人紛れ込んでいるだけで、どれだけ作品全体の雰囲気に違和感が生じることになるか、ひょっとして分かっていないのかな? アニメ作りのプロのくせに。
ドラマでたっぷり実績を積んだ俳優だからって、アニメの声の当て方とは技術的にまったく違うものなんだ。
素人起用に関しての擁護派がよく発する頓珍漢な言い分も、この問題をより助長している気がする。
「役者出身の霧元五郎さん演ずるガロンの声は、ちゃんと合っていましたがなにか?」、などという意見だ。敦子にいわせれば、そんなのはたまたまであり、アニメ声の素人をオーディションもせずに起用したことに違いない。「実際、俳優やタレントの方々の声は、ほとんどの場合が合っていませんが、なにか?」だ。
「アメリカじゃ、役者が声優をやるの当たり前だよ。違和感ないでしょ?」なんていう意見も聞くが、これも敦子にいわせれば、「日本では絵柄も、必要とされる声も違うから、違和感ありありなんですが」。
でもまあ、役者ならまだいい。
百歩譲って、まだ許す。嫌いだけど。
許せないのは、小学生役の声優に本当の小学生を使う映画。
「リアルでしょ?」って、ちっともリアルじゃないよ! アニメのリアルはアニメに合うことがリアルでしょ! だったらこれからは絵も、小学生のキャラは小学生に描かせろー!
というか、そういうのってもうアニメである必要ないじゃん。最初から実写で企画を作ればいいじゃん。
ただでさえ劇場アニメは、既に素人声優だらけになっており、プロ声優の活躍の場が相当に失われているんだ。
このままじゃあ、いずれテレビアニメまでそうなってしまうかも知れない。
それはつまり、プロ声優の減少、獲得枠の減少を意味することに他ならない。
プロ声優になるんだというわたしの熱く真剣な夢が、趣味で声当てを担当するだけの芸能人に破壊されてしまう。
そんなことに、なってたまるか。
そんな世の中に、してたまるか。
必ず、
必ず、プロ声優になって、
頑張って、
声優界を変えて……
「敦子ってば!」
「うわ、ごめん。聞いてた聞いてた。うん、別に小暮俊悟とかいう人の主演でもいいんじゃないかな」
「全然聞いてない! どこで食べてこうかって話していたのに」
「あ……ごめん」
すっかり話題が変わっていたのか。
自分の胸の中で、すっかり熱く熱く語ってしまっていて、聞いていなかったよ。
熱く語るといっても、恥ずかしくて心の中でしか語れないけど。
そういえば、イシューズさんと呼ばれていたあの
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