第三章 敦子、目覚める
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。ただ香奈が、小暮俊悟のこと好きなだけなんじゃないの?」
「う、ばれたか……」
珍しく、漫画アニメ絡みの話題で盛り上がっていた。
といっても、漫画アニメそのものではないが。
「ぼくのなは」という人気漫画の実写映画化が決定したのだが、そのキャストの話で騒いでいたのである。
原作漫画は敦子も好きで、全巻持っている。
深夜アニメは、変にオリジナル色が強いのが好きではなかったが、一応全話チェックした。
漫画アニメ絡みということで、珍しくも敦子主導で話が進んでおかしくない話題であるが、しかし当の敦子は普段以上に会話に参加せず、ふんふん頷き役に徹していた。
俳優の名をよく知らないこともあるが、それよりなにより漫画アニメの実写化が大大大嫌いで、口を開けば棘あり毒ありなことばかり発言してしまいそうだからである。
でもこれまでの人生、棘あり毒ありな言葉をぶちまけたことなど家族くらいにしかなく、他人に対してだと自分がどうなってしまうか、どんなことをいってしまうかまったく分からない。
だから黙っていた。
心の中だから語れることだが、本当に最近の実写化ブームには辟易する。
たかだか十五年の人生で、最近の、などと語るのもおこがましいかも知れないが、でも本当にそう思う。
人気漫画を別のメディアで展開したいのならば、まずは漫画と親和性の高いアニメでやればいいではないか。「ぼくのなは」はやったけど、一般的な話として。
単純な話、漫画が動くのがアニメであり、実写化特有のキャラのミスマッチなど起こりようがないのだから。
まあ、声優が合っているかという、別の問題は発生するが。
だいたい実写映画って、いつもいつもただ有名なだけの役者ばかり揃える。それは結局のところ、話題性つまり集客優先というだけではないのか。
作り手側の上層部にとっては、作品そのものなどどうでもよく、観てくれる人がいるという当たり前のことすらもどうでもよく、ただお金さえ落としてくれればいいのだろうか。
制作現場としては、どう実写化するかということで、楽しんで、苦労して、生み出しているのかも知れないけど、それだって、作り手の独りよがり感は否めない。
でも……それをいい出したら、実写に限らず劇場アニメも似たようなものか。
最近だんだんとCGに違和感がなくなって、映像は文句なしに凄いものが作れているというのに、なんだって声に素人を使うの?
プロが勢揃いして臨まなければならない商業娯楽の制作に、どうしてそこだけアマチュアを置くの?
勝手に宣伝をしてくれるから?
なるほど分かった。でも、それがどうした。
作品は後世に残るものであり、芸術なんだ。そうしたことを、まったく考えていないじゃないか。
その
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