第一話 やり直し、死に戻り。
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あのまま彼処に居たら今頃、俺達はどうなっていたのか…?
考えるだけで背筋が凍る。
でも、不思議だ。聞き慣れない筈の爆発音、人々の叫び声。それらの非日常を体験しているのに俺は────不思議と冷静だった。
「ねぇ…さっきの、」
ロウナはバス停の方に目をやる。
その表情は状況を理解し切れていない様子だった。
「あぁ。なんか事故でもあったのかもな、」
「……え?」
「まぁ、あれ位の爆発なら被害は少ないだろ。
警察、救急車もすぐに駆け付けるだろうし心配するなって」
安心させるように笑顔を作って言う。だが、ロウナの表情は変わらず暗い。
何故、そんなにも悲しそうな…いや、これは怯えているのか。まぁ、あのままバス停まで行ってたら俺達も巻き込まれてたかも知らない。そんな想像すれば誰だって恐怖するか。冷静に状況を見極め、結論を導き出すと俺はロウナの手を優しく握る。
「大丈夫、何も心配しなくてもいい」
それは本心の言葉だ。
なのに、なんでだろう。この胸の騒めきと頭の中を駆け巡る何か…それら二つの衝動は俺の心を震わせる。俺は、やるべき事をしなくてはならない。
何を、どうする?何を、とうすればいい?俺は、何をすべきなんだ?
考えても悩んでも答えは出ない。でも、今すべき事は明確だ。
ロウナと一緒に買物をする。日常の中の当たり前を楽しむ、それだけだ。
揺られる車内。
この時間帯だと人も少なくて乗り心地はとてもいい。
座りながら外の景色を堪能し、たわいない会話で時間を潰す。極々、普通の日常のひと時だ。当たり前の日常、今ある時間を俺は楽しんでいる。
────────ビキッ。
でも、不思議と違和感を感じる。
────ビキッ。
この日常は当たり前で、今日という時間も二度と訪れる事はない。
───────────ビキッ。
それなのに────何故、俺は────────────。
「なぁ。今日って、何日だ?」
「どうしたの急に?」
「いや、その…今日って何曜日かなぁって思ってさ」
何月何日何曜日。そう、今日という日は二度と訪れる事はないこの日、この時間は俺にとって最初で最後の時間の筈だ。なのに、俺は……。
「えっと…今日は、確か4月の26日…木曜日だったと思うよ」
その返答も、その返答の仕方も、そしてガラス張りの建物から反射してきた太陽の光で目を瞑る君の横顔も俺は知っていた。
「そうだよな。今日は4月26日、木曜日だよな」
とてつもない違和感を感じる。
この違和感は自分だけのものなのか。それともこの世界の人類、共通の問題なのか?
恐らく、前者。この違和感は俺だけのもの、俺だけが感じている疑問だ。世界は俺一人の些細な疑問と違和感なんて無視して回っている。そう、これは俺個人の些細な問題なのだろう。俺だけが、その違和感に疑問
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