第一話 やり直し、死に戻り。
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────────────────────。
────────────。
────────。
ポツッ────────…。
────ポツポツッ…。
────────────────────。
「────────…」
それは痛みだった。
言葉にならない激痛に顔を顰める。これは何の痛みだ?
体を動かそうとするが…体の反応が鈍い。
「…な、ん、だ……?」
じわじわとだが、背中から何らかの重みを感じた。さっきまでなんとも無かったのに…。
その重みは少しずつ増していく。そして痛みも重さと比例するように酷くなっていった。
「…………痛い、痛い……」
何が、どうなっているんだ?
確認しようと目を開けようにも暗闇の中なのか何も見えない。俺は、一体…何をしていたんだ?
全身の痛みに堪えながら何故こうなったのか記憶を辿る。確か、午前中は学校の授業を受けてて…午後の授業はつまらなかったから抜け出したんだ。で、適当なタクシーを捕まえて…それで……。その後の記憶は曖昧だった。
────ズキズキ…。
痛みは更に加速する。駄目だ、考え事なんてしてる場合じゃない!
今は、この訳の解らない状況から一刻も早く抜け出すんだ。確か、胸元のポケットに携帯を入れていた筈だ。それを使って外部と連絡を取って助けを呼ぶんだ。
救急車、警察。なんでもいい。助けさえ呼べれば!
なんとか右腕を動かし胸元のポケットから携帯を取りだす。
左腕で携帯の画面を操作しようと────?
「………?」
左腕が…動かない。いくら命令しようと左腕はうんともすんとも言わなかった。恐らく、この記憶の欠落の間…左腕を負傷したと考えられる。
「こんな時に……、」
左腕が使えなくても右腕の右手で操作くらいは出来る。だが、この激痛の中で片手で携帯を操作するほどの余裕はない。なんとか…なんとか暗闇の中、右手で携帯を操作する。だが、いくら操作しても携帯の画面は表示されない。もしかして…故障か?このタイミングで…?
いや。もしかしたら電源を切っているだけかも知らない。それなら電源を入れれば付く。暗闇の中、徐々に朦朧とする意識の中、携帯の電源を入れようとボタンを探す。
カチッ。カチッと電源のボタンらしきものを何度も押す。画面は真っ暗なまま…という事は故障しているのか…。
「────────────…」
声を出して助けを呼ぼうとして口から声は発せられなかった。ぁぁ…今度は……痛みが少しずつ引いていく。不思議だ、あんなにも痛みを発していた身体が少しずつ軽くなっていく。
もしかして、俺って死ぬのか?
朦朧とする意識の中、死という言葉が脳裏に浮かんだ。死とは何なのか?
死ぬってどんな感じなのだろうか?死んだら俺ってどうなるのだろうか?
そんな疑問がいくつも浮かんで消えていく。ぁぁ
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