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儚き想い、されど永遠の想い
238部分:第十八話 相互訪問その五

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第十八話 相互訪問その五

「是非共」
「いえ、私が見させるものではなく」
「それが違いますか」
「二人で見るものですから」
「二人で」
「いつもそうお話していますね」
 こう真理に告げた。
「そうですね」
「はい、そうですね」
「ですから。今もです」
「見させてもらうのではなく」
「二人で見るものです」
 そうなるというのだ。二人でだというのだ。
「ですから。今から」
「それでは」
「庭に行きそして」
「はい、赤薔薇と白薔薇の二つを」
「見ましょう」
「そうしましょう」
 ここでだった。その庭にだった。
 二人で出て薔薇達を見る。その薔薇達は。
 二人から見て右手に赤、左手に白の薔薇がある。どの薔薇も緑の中に見事に咲き誇っている。その花達を見ながら真理は言った。
 ほう、とした声になってだ。そのうえで義正に言うのである。
「見事ですね」
「御気に召されましたか」
「はい」
 そうだとだ。義正に確かな言葉を返した。
「これ程度までとは」
「思われませんでしたか」
「凄い数で」
 そのだ。薔薇の数がだというのだ。
「それに薔薇の一つ一つが」
「見事だというのですね」
「素晴しいです」
 言葉は恍惚としたものになっていた。そうしてまた言うのである。
「見ていて飽きません」
「本当に御気に召されたのですね」
「はい。とても」
 実際にそうだとだ。真理は答えた。
「ずっとここにいたい位です」
「ははは、そこまでなのですか」
「二人で」
 ここでもだ。こう言う真理だった。
「二人で。ずっといたいです」
「二人で、ですね」
「二人でなければ」
 そうでなければと。こんなことも言うのだった。
「見ていても。喜びは半分ですから」
「けれどこうして一緒にいれば」
「違いますね」
「二人なら喜びは倍になりますから」
「その通りですね。それでなのですが」
「それで?」
「薔薇だけではありません」
 その他にもあるとだ。義正は真理にその気品のある笑みで話した。
「この庭にあるのは」
「薔薇だけではないのですか」
「西洋だけではありません」
 薔薇、即ち西洋だけではないというのだ。では何があるかというと。
「我が国もあります」
「日本も」
「はい、あります」
 静かに微笑んでだ。こう真理に話すのである。
「この庭には池もありまして」
「そこに日本があるのですね」
「西洋の中に日本を置きました」
 それであるというのだ。日本がだ。
「その庭のところにです」
「では」
「行かれますね」
「そうさせて下さい」
 微笑んでだ。また義正に話すのだった。

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