235部分:第十八話 相互訪問その二
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第十八話 相互訪問その二
「こうした木の匂いがするのは」
「不思議ですか」
「そう思います」
彼女の考えをだ。義正に話すのである。
「ただ。それでも」
「それでも?」
「落ち着きますね」
「この木の匂いの中にいるとですね」
「はい、落ち着きます」
そうだというのだ。
「とても」
「木は」
義正はだ。その木について話した。
「森に行かれた時と同じで」
「あの時と同じですか」
「そうです。人の心を癒してくれるものですから」
「だからですね」
「それで落ち着くのだと思います」
こう真理に話すのだ。そしてだ。
さらにだ。彼女にこんなことも話した。
「あとですが」
「あと?」
「私の実家は落ち着きますか」
今度話すのはこのことだった。彼のこの実家のことだった。
「そうですか」
「はい。木の匂いのことだけでなく」
「全体の雰囲気がですね」
「落ち着きます」
そうだとだ。、真理はまた義正に話した。
「ここにいますと」
「左様ですか。それは何よりです」
真理のその話を受けてだ。義正は微笑んでいた。
そしてそのうえでだ。彼女をある場所に案内したのだった。
「ではです」
「それでは?」
「庭に出ますか?」
案内する場所はそこだった。屋敷の庭である。
「そこも見られますか?」
「お庭をですか」
「花をいつも飾っていまして」
「花ですか」
「薔薇やそうしたものを」
そうした花達を飾っている庭だというのだ。
「如何でしょうか。そちらは」
「はい」
まずはだ。一言で答えてからだった。
真理は微笑みだ。義正に述べた。
「ではそちらに御願いします」
「はい、それでは」
「薔薇ですか」
その薔薇についてだ。真理はまた微笑んでいた。
そしてそのうえでだ。こうも言うのだった。
「薔薇はいいものですね」
「前からお好きでしたね」
「花はどれも好きです」
そしてだ。その中でもだというのだ。
「薔薇はとりわけ」
「お好きでしたね」
「古来より我が国にもありましたね」
「そう聞いています」
「しかし。西洋の趣を感じますね」
薔薇が流行したのも文明開化からだ。だからそう感じるというのだ。
「それの象徴の様に感じます」
「西洋を代表する花と思われますか」
「確か英吉利の象徴でしたし」
「はい、あの国の国花です」
「そうでもありましたね」
「あの国ではかつてです」
義正は薔薇と英国のことについてさらに話す。妻を庭に案内しながら。
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