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変わる顔
第三章
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「宜しくお願いします」
「それでは」
「はい、それじゃあ」
「少しお待ち下さい」
 老人はすぐに彼の会社に戻ってだ、社員名簿等を持って来てそうして探偵事務所に戻った。そしてだった。
 未夢と梓希にその写真を見せた、すると。
 ある三十代の女性社員の顔写真を見た瞬間にだった。
 未夢も梓希も表情をきっとさせてだ、お互いの顔を見て頷き合ってだ。そのうえで老人に言った。
「間違いなくです」
「こいつですよ」
「一連の事件の犯人は」
「この女に間違いないです」
「彼女ですか」
 名簿の名前は西脇累美子といった、見れば異様なギョロ目で細い痩せた首にこけた頬と不気味な笑顔、乱れた髪といった顔だ。異様な人相である。
「入社して十年の社員ですが」
「すぐにこいつの部屋とか調べた方がいいです」
 梓希は老人に言った。
「何かと理由をつけて」
「部屋をですか」
「私達の推理ですが」
「この人の部屋に毒があります」
 事件に使われたそれがとだ、未夢も言った。
「それが」
「では」
「はい、私も彼女と同じ意見です」
 梓希と、というのだ。
「やはり」
「彼女がですか」
「犯人だと思います」
「では」
「これからです」
 未夢はその目を強いものにさせて老人に言った。
「社長さんとです」
「私ですね」
「はい、そして警察の方々にもです」
「一緒にですか」
「来て頂いて」
 そしてというのだ。
「彼女が犯人だと実証したいのですが」
「私達で」
 梓希も言ってきた。
「宜しいでしょうか」
「そこまで言われるなら」
 是非にとだ、老人即ち社長も応えてだ。未夢と梓希は老人と警官達と共に西脇の家に向かった。そしてだった。
 西脇にだ、何処となく話を聞くふりをした。すると。
 西脇は何も問題がない様な返事をするばかりだ、それでだ。
 警官達は二人にだ、こっそりと話した。
「彼女はこうですよ」
「別におかしいところはありません」
「シロだと思いますが」
「我々も」
「証拠がないですから」
「顔はともかくとして」
 彼等も直観として怪しいことをしそうな感じだと思っていた、だが彼等は警官だ。見込み捜査とかはすると後で大変なことになりかねない。それでそうしたことは避けているのである。
「何もないですよ」
「部屋を調べても」
「そうしたものを買った痕跡はないですし」
「趣味は山登りですし」
「おかしなことは」
「山登り、ですか」
 梓希がそこに目を止めた。
「それは余計にですね」
「いや、別に山に死体を埋めたとかいう話じゃないですから」
「今回の事件は」
「会社の中で次々に死んでいるだけで」
「全く訳のわからない毒物で」
「そうなっているだけですから」
「ちょっと冷蔵庫を調べ
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