第二章
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「この家が使っていた毒です」
「それがそのカンタレラですか」
「はい」
「これも言い伝えなんですが」
今度は梓希が老人に話した。
「豚の肝臓にハンミョウを潰して乾かして粉にしたのをかけて作るそうです」
「豚の肝臓にハンミョウですか」
「はい」
そうだというのだ。
「加減次第ですぐに殺すこともゆっくり殺すことも出来る」
「そんな毒ですか」
「そうした毒もあるそうです」
こう老人に話した。
「私もその目で見た訳じゃないですが」
「あるとのことですか」
「はい、本当に毒も作ろうと思えば」
実際にというのだ。
「普通に作れたりするんです」
「では」
「多分犯人はそうした毒を使っていないです」
「普通に危ないと言われている毒は」
「例えばトリカブトとかヒ素とか」
そうしたよく言われる毒はというのだ。
「使ってないですね」
「そうですか」
「普通に市場とかにあるものから作られる毒ですね」
そうしたものだというのだ。
「本当に」
「あとです」
未夢がここで言うことはというと。
「個人的な怨恨等で殺さない場合もありますね」
「それは」
「はい、もう人を殺したくて仕方がない」
「通り魔みたいに」
「サイコ殺人鬼等もそうですが」
「そうした人間が我が社にいると」
「そうも考えられます」
未夢は淡々とした調子で話した、梓希が豊かな表情と仕草で話していくのと正反対のものだった。
「この場合は」
「そうですか」
「はい、若しかして」
実際にというのだ。
「そうした毒を使っている衝動殺人犯人か」
「そうした可能性がですか」
「考えられます」
「まさかと思いますが」
「それがですね」
梓希が眉を顰めさせて言うことはというと。
「そうした奴って結構いるんですよ」
「我が社に」
「いえ、世の中にはです」
老人の会社だけでなく、というのだ。
「本当に稀にですが」
「平気で無関係の人を殺す奴が」
「自分の楽しみでとか」
「そうですか」
「そうした奴って結構顔に出ますしね」
「顔にですか」
「はい、人を殺すって相当な悪事じゃないですか」
右手をしきりに動かしつつだ、梓希は眉を顰めさせたり怒らせたりして老人に話していく。確かに未夢と好対象だ。
「どんな無表情でも絶対に出る部分もありますし」
「絶対にですか」
「目とか」
「目、ですか」
「どんな無表情な奴でも目には出ます」
「大抵は表情自体に出ます」
未夢はこう話した。
「そこに」
「顔ですか」
「ですから」
ここでだ、未夢は老人に申し出た。
「よかったら社員、そして貴社に出入りする方々のお顔を見せて頂けますか」
「写真で宜しいですか?」
「はい」
未夢は老人に即答で応えた。
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