暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第65話「足止めの戦い2」
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かげ様で。……お二人も、変わりなく…いえ、以前より強くなりましたね】

「そう…だね…」

 ユーリの声しか聞こえず、肝心の姿は見当たらない。
 …多分、別の部屋から通信を繋げているのだろう。
 声も私達の持つ端末から聞こえているみたいだし。

「悪いが無駄話をしている暇は…っ、ない…!」

【…分かってます。こちらから出来る限りの妨害を仕掛けます。何とか突破口を…!】

「了解……!」

 ゴーレムの制御権を奪える程、軟なプログラムをしていない事ぐらいは分かる。
 だから、ユーリも妨害までしか出来ないのだろう。
 ……でも、私達にはそれで充分…!

「ラウラ…!」

「分かっている!」

 動きが乱れた分、私達の回避が容易になる。
 “乱れる”だけあって、油断すればすぐに被弾してしまうけど……。

「(でも、ユーリが制御を掌握した訳じゃない。飽くまで妨害止まり…。なら、多分武装の補充とかは行われるだろうから……)」

 そこまで考えて、手は一つしかないという解に行き着く。

「(けど、これを決めるには……)」

「ッ……!…どうした?」

 ちらりと、横を同じように避けていたラウラを見る。
 その視線に気づき、ラウラはこっちを見た。

「…ラウラ。少しの間一人で時間稼ぎ、出来る?」

「……決めるつもりか?」

「うん。でも、それをするには少し無防備になってしまうから……」

「了解した。やってみよう。ユーリ、サポートを頼む」

【分かりました…!】

 最後まで言う事なく、ラウラは了承した。
 ……どの道、私達が劣勢なのはユーリがいても変わらない。
 だったら、一撃に賭ける方が良いという判断だろう。

「(なら、それに応えなくちゃ…!)」

 薙刀を構えなおし、呼吸を落ち着ける。
 ……私が放とうとしている技は、戦闘中に使う事が出来ない。
 と、言うより、私がまだ未熟だから戦闘中は無理と言うべきかな。

「(心に、“水”を宿す……)」

 まるで波一つ立たない水面のように、心を落ち着ける。
 これから放つ攻撃に意識を集中させ、だけど思考は静かに。

「はっ……!」

【次、左です!】

「っ……!」

 視界には、ラウラが必死に攻撃を引き付けている。
 何度も危ない状況に陥るけど、それで心を乱す訳にはいかない。
 同時に、それから目を逸らす事も許されない。……この一撃は必ず当てるから。

「ふぅー……」

 息を吐き、呼吸を整える。
 ……行ける。

「っ……!」

 そこで運よくラウラと目が合った。
 私の様子を見たラウラは、すぐに察して……。

「ッ……!」

     ドンッ!


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