第七章
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「七海ちゃんだけにとか出来ないよ」
「だからなの」
「うん、これからは二人でね」
こう言ってだ、自分もと言ってだ。ある日デートの時にあれこれ言おうとした伸也に面と向かって言った。
「僕達は僕達です!」
「何っ!?」
「僕が決めたんです!」
こう言うのだった、デートの待ち合わせ場所に七海を尾行してついてきていざデートという時にあれこれ言おうとした彼に。
「七海ちゃんと一緒にいるって。ですから」
「俺に何も言うなって言うんだな」
「はい、例え何があっても」
強い声で言うのだった。
「七海ちゃんは僕が守っていきます」
「本気だな、小僧」
「はい!」
伸也の目を見据えて応えた。
「そのつもりです」
「空手や柔道をするか」
伸也は大輝にこう問い返した。
「俺はどっちも四段、今度五段を取るがな」
「七海ちゃんを守る為にですか」
「そうだ、こいつにはいつもスタンガンや警棒を持たせている」
無理にだ、そうして七海に自分の身を守らせているのだ。
「そうしているがな」
「それでもですね」
「御前が守るというならだ」
それならばというのだ。
「御前に空手や柔道を教えてやる」
「そうしてくれますか」
「俺の武道は実践だ」
型だけではないというのだ。
「この前生徒を床で背負い投げする様な中学の剣道部の顧問に柔道の試合を挑んで再起不能にしてやった」
「あのことは善行だったわ」
七海もそれはいいとした。
「そうした奴は放っておいたら何するかわからないからね」
「自分の生徒の前で背負い投げをしたら切れて竹刀持って襲い掛かって来たからな」
完全な正当防衛として、というのだ。
「壁に放り投げて全身の骨を粉々にしてやった」
「あの暴力教師その後で一連の不祥事ばれて入院先で懲戒免職言われてしかもグルだったヤクザ屋さんに口封じで病院から夜連れ出されて消えたらしいわよ」
「屑には屑の末路がある」
伸也はそうした輩はこう切り捨てた。
「だからどうでもいい」
「そうよね」
「そうした奴が来ても倒すのが俺の武道だ」
伸也はあらためて大輝に話した。
「それでもいいか」
「はい、僕も七海ちゃんを守りますから」
「よし、俺が通っている空手と柔道の道場をそれぞれ教えてやる」
つまりその二つの道場に入門して鍛えられろというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「そして何があってもだ」
伸也はさらに言った。
「妹を泣かせるな、いいな」
「はい!」
大輝の返事は強かった、そしてこの時から実際に彼は心身共に強くなった。伸也に引っ張られる形で。
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