第四章
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それでトイレの扉を閉めて夫に話した。
「これでね」
「ああ、もうだな」
「心配いらないわ」
「本当に邪魔だったからな」
「起きたらね」
「いや、猫の手もっていうけれどな」
「実際にあったらね」
それこそというのだ。
「こんな邪魔なものはないわ」
「全くだな」
「しょっちゅうちょっかいかけてきて」
「困るな」
「本当にね、けれどね」
「これでな」
「そう、お掃除が終わるまではね」
まさにとだ、美幸は大助にほっとした顔になって話せた。
「猫の手はないわ」
「そうだよな、じゃあな」
「ええ、今からね」
「大掃除を再開するか」
「そうしましょう」
こう話してだ、家族で大掃除をしていって夕方には終わってだ。晩は年越しそばを食べたがその時にはだ。
もうミミはトイレから出されていた、それでクッションの上で寝ていたがそのミミを見てだった。美幸は大助に蕎麦を食べ終わって後片付けも終わって紅白がテレビに映っているのを横目に見つつ言った。
「ああしてずっと寝ていてくれたら」
「忙しい時はな」
大助も妻に応えて言う。
「いいんだけれどな」
「そうよね」
「全く、猫ってのはな」
「本当に忙しい時にこそちょっかいかけてきて」
「邪魔だな」
「全く以てね」
二人でテーブルに座った状況で話す、もう子供達は寝ている。
「困った生きものよね」
「だからこそわかったよ」
大助は紅白よりもミミを見つつしみじみとした口調で妻に語った。
「どうして猫の手も借りたいって言葉があるか」
「物凄く忙しくてね」
「もう邪魔にしかならないものでもな」
それが猫の手であることは言うまでもない。
「助けて欲しい」
「そうした状況ってことね」
「今日のがそうだったな」
「そうよね、けれどいざあると」
「こんなに邪魔なものはない」
「そのことが今日わかったわ」
「よくな、けれどな」
妻にほっとした顔で話した。
「やることは全部やったしな」
「少なくともお正月はね」
「静かに暮らせるな」
「ミミもいるけれど」
「もうやることはやったんだ」
大掃除なり買いものなり料理なりはというのだ。
「だったらな」
「これでよね」
「ミミがちょっかいかけてきてもな」
「それは絶対にしてくるけれど」
猫がそうした生きものだからだ、何もしていくても時には近くに寄って来て噛んだり引っ掻いたりしてくる。そうした生きものなのだ。
「それでもね」
「もう用事はしていない」
「だったらね」
「ああ、無事にな」
「お正月過ごせるわね」
「そうなったな」
夫婦でしみじみと思った、もう猫の手も借りたい状況が終わって猫の手が邪魔になる状況も終わった。平和になったことを心から思い喜んでいた。今は何事もな
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