第二章
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吉能は早速大学にいた実験用の犬、あの宇宙にはじめて行ったライカ犬と同じ種類の犬を歩かせることにした。
「名前はクドリャフカにしたわ」
「今名付けたんですか」
「そう、ライカ犬だからね」
それでとだ、吉能は美祐に話した。
「その名前にしたわ」
「そのままですね」
その宇宙に行ったライカ犬の名前だというのだ。
「宇宙には送らなくても」
「ただ歩いてもらうだけよ」
二本足、それでというのだ。
「それだけよ」
「そうですか」
「じゃあ今からこのクドリャフカをね」
「二本足で歩く様にですね」
「改造手術を施すわ」
ここでもだ、吉能はにこりと笑って話した。
「既にもうどうしていいかはわかってるし」
「人間の身体と犬の身体を見て」
「はじめるわよ」
「失敗しなかったらいいですね」
「私失敗しないのよ」
吉能は笑顔のまま何処かの長身でミニスカートの女性外科医の様なことを言った。あそこまで派手な外見ではないが。
「絶対にね」
「またそんなこと言って」
「とにかくね」
「失敗しないからですか」
「この子は絶対に二本足で歩く様になるわ」
「人間みたいに」
「そうなるわよ、これからね」
こう言ってだ、吉能は実際に実験用のライカ犬名前はそのままクドリャフカとしたその犬の身体を二本足で歩く様にしてみた。その手術の後だ。
犬は実際に後ろ足だけで歩ける様になった、とはいっても基本は四本足で歩くので美祐はその犬を見てこう言った。
「何か熊みたいですね」
「やっぱりそう思ったかしら」
「はい、何か」
美祐は時折二本足で歩くクドリャフカを見つつ吉能に答えた。
「実際に」
「それは当然ね」
「近い種類だからですね」
「犬と熊はね」
実は生物学的には近い関係にあるのだ、この二種類の生きものは。
「だからね」
「近いのもですか」
「当然よ」
そうだというのだ。
「美祐ちゃんの言う通りよ」
「そうなんですね、やっぱり」
「ええ、後ね」
「後?」
「この子学会に発表するから」
二本足で歩ける様になったクドリャフカとをいうだ。
「論文も書いてね」
「そうしてですか」
「ええ、これは大騒ぎになるわ」
「面白いことに、ですね」
「そうなるわ」
吉能は自分の願い、面白いことになることを期待して楽し気に笑った。まるで子供が悪戯をする時の様な笑顔だった。
「これからも楽しみだわ」
「むしろこれからがですよね」
「ええ、楽しみよ」
そうだというのだ。
「最高にね」
「何で博士ってそう愉快犯なんですか」
「心は少女のままなのよ。私って」
「いや、少女は恋するものですよ」
「彼氏はいるわよ」
実は吉能にはそうした相手もいて相思相愛だ。
「美祐ちゃんと一緒でね」
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