230部分:第十七話 山でその七
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第十七話 山でその七
「現実のものです」
「現実だからこそ実現できるのですね」
「そう思います。夢は」
夢は完全なだ。架空ではないというのだ。
「実現できるものです」
「全ての夢がですね」
「そう思います。まず夢があってそれを見て」
それからだった。
「それを目指しです」
「実現させるものですね」
「それが例え途方もないものにしても」
「それでもですか」
「はい、実現させます」
言葉は可能のものではなく。断言だった。
「そうします」
「そうですね。それでは」
「それでは?」
「私もまた」
笑顔でだ。真理は言うのだった。
「私達の幸せを実現させることを」
「それをですね」
「夢見ます」
「そしてその夢を」
「実現させます」
夢をだ。そうするというのだ。
「是非共」
「そうですね。私達の夢も」
「夢は幾つも持っていいものですね」
「欲張りではありますが」
それでもだと。上城は己の言葉を続ける。
「それもまた」
「いいですね」
「夢には制限がありません」
「だからこそ」
「はい、幾つも持っていいものです」
そうだというのだ。これが義正の考えだった。
「その夢が他の人を害するものでない限りは」
「そのうえで幸せを目指す夢なら」
「いいのです」
こう真理に話すのである。穏やかで、そして前を見ている顔で。
「では。今はこの山から」
「景色を見てですね」
「幸せになりましょう」
今はだ。そうするのが幸せだというのだ。
「そうなりましょう」
「はい、それでは」
真理もだ。優しい笑みでだった。
彼のその言葉にこくりと頷いてだ。そうして言うのだった。
「二人で」
「幸せに」
こうしてだった。二人は六甲の山からだ。神戸の町と海、それに空を見るのだった。空と海の青い果てには。白い光が見えていた。
その光を見てから山を下りて。屋敷に帰った。そこでだ。
佐藤にだ。こう話すのだった。
「身近な山だったけれどね」
「とても奇麗でした」
「山もいいものですか」
「うん。この神戸はあらゆるものが」
「とても奇麗です」
こうだ。彼に笑顔で話すのである。
「行ってよかったよ」
「またいいものを見させてもらいました」
「神戸の山もなのですね」
佐藤は二人の話からだ。それで話したのだった。
「いいものですか。それなら」
「そう。それなら是非共」
「佐藤さんも山に登られるべきです」
「そうさせてもらいます」
にこやかに笑ってだ。佐藤は二人に答えた。
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