第五章
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「実際に」
「そうよね。あるのね」
「凄く勉強になったわ」
「大仏様は日本全土を救ってもらう為に建立されたし」
聖武帝のお考えによってだ、当時としては想像を絶する大事業であったが実行に移され成ったのだ。
「神聖でない筈がないわね」
「日本全土を救ってくれる仏様ね」
「本当に神聖な存在よね」
「そうした仏様がここにはおられる」
「そのこともわかったわね」
「ええ、今ね」
二人で笑顔で話しつつだ、奈良公園に戻った。すると皆それぞれお昼を食べていてだった。
二人を見た玲がだ、こう二人に言った。
「貴女達何処に行ってたの?」
「はい、また東大寺に行ってました」
「さっきまで」
二人は玲に正直に答えた、
「また観ようって思って」
「それでなんです」
「そうなのね、それじゃあね」
「はい、お昼ですね」
「早いうちにですね」
「食べなさい」
こう二人に言うのだった。
「いいわね」
「わかりました」
「今すぐ食べます」
「もう少ししたら自由時間も終わりよ」
その食事の為の時間もというのだ。
「だからいいわね」
「今すぐに食べます」
「そうします」
「そうしてね」
二人に少し強い声で言った。
「今度は正倉院に行くから」
「あそこでしたね」
「次は」
「あそこも凄いの一杯あるから」
歴史的に見て、というのだ。
「いいわね」
「じゃあすぐに食べます」
「そうします」
「行きなさい、あとわかってると思うけれど」
早速その場に敷きものを出して弁当を出した日海夏と優にだ、玲はこうしたことも言った。
「あの大仏さん動いたり喋ったりしないから」
「はい、わかっています」
「そのことも」
「そうした造りになってないからね」
座ったままの姿勢だというのだ。
「そうしたことはないわ」
「中に仏様がおられても」
「神聖でもですね」
「そうよ、そのことは覚えておいてね」
こう言ってだ、二人に早く弁当を食べる様に促すのだった。東大寺である大事なことがわかった二人に対してそのことは知らないまま。
静寂 完
2017・7・21
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