第三章
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「仏様が中に入っていてもね」
「流石にですね」
「それはないですね」
「立ち上がって悪い奴を倒すとか」
「そんなことは」
「特撮じゃないから」
玲も笑って二人にこちらのジャンルの話をした。
「それはないわ」
「ですよね」
「流石にないですね」
「ないわよ」
こう言うのだった、そしてだった。
玲が他の生徒達のところに行ったところで二人は大仏をさらに見上げていた。するとその二人の傍でだ。
二人の同級生や引率の先生達以外の観光客たちがだ、こんなことを話しているのが聞こえてきた。
「誰もいない時にここに来たら動くとか?」
「大仏さんが喋るとか」
「そんなことあるの?」
「ひょっとして」
「あるみたいだよ」
こうしたことを話していた。
「そんな話が」
「実際になんだ」
「この大仏さん動いたり喋ったりするんだ」
「ここに誰もいないと」
「そうなの」
こんな話をしていた、その話を聞いてだ。
まずはだ、日海夏が優に言った。
「さっきの話本当だと思う?」
「まさかと思うけれどね」
首を傾げさせてだ、優は日海夏に返した。
「流石に」
「そうよね、幾ら何でも」
「けれど本当かどうか」
「気になるわね」
「ひょっとしてね」
「実際に動いたり喋るかも」
二人でその大仏を見つつ話す。
「大仏さんが」
「如何にも仏様が宿ってそうだし」
「そんな感じするしね」
「ひょっとしたらね」
二人共そんな話を否定出来なかった、そしてだった。
二人は東大寺て春日大社にも行ってそこから出たところで各自の自由時間になったのでだった。
二人でだ、この時こそとなって話をした。
「東大寺行く?」
「さっきの話が本当かどうかね」
「実際に行って確かめる?」
「実際に誰もいなかったらそうなるか」
「大仏さんが動くか喋るか」
「どうなるか」
こう話すのだった、そしてだった。
二人でその東大寺に行った、さっき行ったばかりの場所なので二人の高校の生徒は来ていなかった。そのうえ。
この時はたまたま誰も大仏殿にはいなかった、そしてだった。
二人はその自分達以外は誰もいない大仏殿に入りだ、先程の話が本当かどうか調べることにした。
異様なまでに広く薄暗い大仏殿の中央にいる大仏をじっと見た、大仏は何もしゃべらず動くこともない。
だがその大仏を見てだ、優が言った。
「喋ることも話すこともないけれど」
「それでもね」
日海夏も優に応えた。
「こうして静かな中で観たら」
「何か違うわね」
「もの静かな感じがして」
「峻厳?」
「そんな感じするわね」
「そうよね」
こう二人で話した。
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