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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八 火蓋を切れ
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、眼を見開いた。

何もしていないのに、札の端がチリリ…といきなり燃え上がったのだ。


一瞬にして燃え尽きた札に、聊か呆然とし、直後我に返ったカカシはいのに目配せした。
その合図に応えて、いのが巨岩から少し離れた場所へ移動する。そのまま助走をつけて、一気に岩目掛けて、師匠の綱手譲りの馬鹿力を振るった。


ガラガラガラ…と瓦解する岩の破片を飛び越え、突入する。
結界が自ら解かれたことに、(あえて結界を解くとは大した自信だな…)とカカシは眉間に皺を寄せた。
その隣で、ナルはようやく入れた洞窟内の光景に釘付けになっている。


視線の先で、横たわる我愛羅。
その身が微動だにしていないのを認めたくなくて、彼女は吼えた。


「てめぇら……!!」

黒の外套に赤い雲。
『暁』のデイダラとサソリを睨み据える。

特に我愛羅の身体に腰掛けているデイダラを、ナルは一際強い眼光で怒鳴った。

「…―――ぶっつぶす…ッ!!」



眩い金色の髪とその容姿に、デイダラとサソリは一瞬躊躇する。
ナルトに似通ったその身をまじまじと見遣った二人だが、彼女の言動に、すぐさま思い当った。



「一番最初に大声で怒鳴ってくる奴…――アイツか…」
「の、ようだな…うん」

一瞬でもナルトに似ていると思った己を恥じるように、サソリとデイダラはお互いに大きく頷いた。

「ナル坊、特徴教えるのうめえな…うん」

感嘆するデイダラの横で、サソリはナルと共に洞窟に飛び込んできた人物の一人だけに注目していた。こちらをじっと、感慨深げに見つめるチヨの視線から逃れるように顔を背ける。


「我愛羅…!そんな所で呑気に寝るなってばよ…立てってばよ!!」

我愛羅を起こそうと躍起になるナルの大声が洞窟内に響き渡る。
見兼ねたカカシが「わかっているはずだ」と心苦しくも止めるのを聞いて、デイダラはにやりと口角を吊り上げた。座っている我愛羅の頬をペチペチと叩く。


「そーそー。わかってんだろ…」

次いで、ナルにとって最も聞きたくない言葉が洞窟の中で、そして彼女の耳朶にうわんうわんと反響した。


「とっくに死んでんだよ」









我愛羅を取り返しにきたのだろうと推測し、デイダラは己が椅子にしている相手を少しばかり感心したように見やる。

「死んでも人質に使えそうだな、うん…」

一人納得したデイダラは、サソリの答えを待たずに、術を発動させる。
羽ばたく巨大な鳥の姿に、嫌な予感がしたサソリは「おい」と声を尖らせた。


「デイダラ…てめぇ、まさか…」
「芸術家ってのは、より強い刺激を求めたがる性質(タチ)なんでね…」


我愛羅に腰掛けたまま、デイダ
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