第二章
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「困るから」
「だからですね」
「調子戻して欲しいわね」
「というか先輩今何か」
晴香の方から言った。
「寝不足な感じですね」
「ええ、目の下にクマがあって」
それでとだ、恵子も応えて言う。
「背筋も曲がって」
「髪の毛もボサボサの感じで」
「もう明らかにね」
「寝不足ね」
「どう見ても」
「その原因が何かよ」
「問題はそこですね」
「そうよ、そこよ」
まさにというのだ。
「問題は」
「それじゃあ」
「そう、だからね」
それでと話す恵子だった。
「御門君自身に聞いてみましょう」
「会社に帰ったらですね」
「ええ、それにしてもあそこまで体調が調子に影響する子もね」
「珍しいですか」
「あの子高校の時からそうなのよ」
恵子は彼の十代の頃も話した。
「これがね」
「あっ、主任と先輩高校から一緒でしたね」
「大学もよ」
「八条学園で」
「私が三年、彼が一年でね」
「ハンドボール部で一緒で」
「男子女子分かれていたけれど」
ハンドボールをやっていたことは一緒だったというのだ。
「その時からよ」
「体調が悪いとですか」
「絶不調だったのよ」
「そうだったんですね」
「それで体調がいいと絶好調で」
「大学の時もですか」
「私達経済学部だったけれど、八条大学の」
恵子は今度は大学時代の自分達の話をした。
「風邪とかひいてたら」
「もうガタガタですか」
「何も出来ない位にね」
「今と一緒ですね」
「サークルの方もね」
「サークルもハンドボールでしたね」
「そっちでね、あの調子だったのよ」
体調が悪いとどうしようもなかったというのだ。
「そうだったのよ」
「学生時代から先輩は先輩だったんですね」
「そうなの」
「私も八条高校、八条大学でしたけれど」
「晴香ちゃんは高校は商業科で大学は文学部でね」
「はい、主任も先輩も知らなかったですから」
「そうよね、とにかく彼にはいつも元気でいてもらわないと」
今度はチキンナゲットを食べつつ言う恵子だった。
「上司の私としてもね」
「仕事でバディの私も」
「大変だから」
「ここはですね」
「ちょっと彼の為に一肌脱ぐってことで」
「はい、先輩の為にも私達の為にも」
「彼に事情を聞きましょう」
まずはというのだ、そうしてだった。
二人は昼食を終えて午後の仕事が終わってからだ、家に帰ろうとする佳彦を呼び止めた。背は一八〇あり眼鏡をかけたしっかりとした体格の青年だ。丸い目と厚い小さめの唇がその顔の大きな特徴となっている。
「ちょっといいかしら」
「何ですか?」
「ええ、これから時間ある?」
恵子が佳彦に聞くのだった。
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