巻ノ百二十二 集まる豪傑達その一
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巻ノ百二十二 集まる豪傑達
大坂からの文を受けてだ、後藤はすぐにだった。
屋敷にいた者達にだ、こう言った。
「時が来た」
「では」
「これよりですな」
「わしは行く」
こう告げた。
「大坂にな」
「ではです」
「我等です」
「お供します」
「これまで約していた様に」
「よいか、わしはよいが」
ここでこうも言った後藤だった。
「この度の戦はわかっていよう」
「ははは、それは承知のこと」
「殿も言われましたが」
「それで今まで待っていました」
「だからです」
「お気遣いは無用」
「共に一花咲かせましょう」
「大坂において」
「済まぬな」
彼等の言葉を受けてだ、後藤は微笑んで応えた。
「これまでわしに共にいてくれて」
「殿だからです」
「我等も惚れ込んでここにいました」
「このこともお気遣い無用です」
「お気になされることはありません」
家臣達は後藤に笑って返した。
「ですから」
「これから参りましょう」
「大坂に」
「皆で」
「是非な、ただな」
ここでこうも言った後藤だった。
「母上のことじゃな」
「お母上はです」
家臣の一人がすぐに応えた。
「既にそれがしが後のお暮しが十分に出来るだけの銭を用意しています」
「そうか」
「はい、そしてです」
「お主がか」
「誓ってです」
まさにというのだ。
「命にかえても」
「世話をしてくれるか」
「ですから」
それでというのだ。
「このこともご心配なく」
「そうしてじゃな」
「大坂に向かわれて下さい」
「ではじゃ」
ここまで聞いてだ、後藤はその顔を穏やかなものにさせてその家臣に述べた。
「母上はな」
「はい、それがしが」
「頼んだぞ」
「さすれば」
「では他の者はじゃ」
後藤はあらためて己の前に集まる家臣達に話した。
「これよりな」
「はい、大坂に行きましょう」
「これより」
「そうしましょうぞ」
こうしてだった、家臣達もだった。
大坂に向かった、こうして後藤は大坂に入ったのだった。
長曾我部盛親は都にいた、それでだ。
所司代の板倉勝重は厳しい顔でだ、役所にいる者達に言っていた。
「ではな」
「はい、長曾我部殿は」
「是非ですな」
「大坂に行かせぬ」
「何としても」
「あの御仁は武勇がある」
こう言うのだった。
「だからな」
「大坂に入られると厄介ですな」
「それで、ですな」
「大坂方には入らせぬ」
「その様に見張りますか」
「そうせよ。何かあれば」
その時はというのだ。
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