0294話『薬の完成』
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それは朝になり冷たい空気が新鮮に感じる時間帯。
その時間に工廠では明石が感動的な笑顔を浮かべながら、
「薬が、でき、たー!」
【【【わーい! わーい!】】】
明石のその叫びに今まで手伝っていた工廠妖精さん達も万歳三唱をして喝采をしている。
「えっ!? なになになに!? どうしたの!」
その賑わいに工廠の端の方で過労のため毛布に包まって仮眠を取っていた夕張も置きだしてきた。
明石もそれで夕張の手を掴んで笑顔を浮かべながら、
「出来たんですよ! ついに!」
「本当に?」
「はい! これが試作に試作を重ねてきた完成品。『分離薬・真』です!」
明石の手にはこれでもかといわんばかりの色をした錠剤が握られていた。
それをみてさすがの夕張も少し引きながら、
「ちょっと……これって本当に大丈夫なの?」
「大丈夫です! 色や味はともかく効果はばっちしです! この薬の完成のために何度も妖精さん達が犠牲になってきたんですから完成してもらわないと困ります!」
「そ、そうよねー……」
夕張はちらっと妖精さん達の方を見て冷や汗を流す。
試作の錠剤を飲んで中途半端に分離している子がいたり原形を留めていない子もいたりといかにこの錠剤が完成するまでに犠牲になったか分かるというものである。
それを夕張は即座に見なかったことにした。
精神衛生上、あまり見ていても気分が悪くなるだけだから。
「わかったわ。それで提督にはいつ渡すの?」
「そうですねー。早めがいいと思いますから明日にでも渡すとしますか。分離した後に榛名さんが普通に戦闘できるかも検証しないといけませんし、もし不手際でまた一人に戻ってしまったら元も子もないですから経過観察も必要です。
近々限定作戦も迫ってきていますから榛名さんには万全な体勢で挑んでもらいたいですからね」
「了解よ。それじゃ明石は一回寝といたら? もうかなり目の下の隈がひどいわよ」
「そうですねー……はい。それじゃ少し仮眠を取ってきます……お昼過ぎになったら起こしてください」
「わかったわ。それじゃ一応あたしが提督に事情を伝えてくるわね」
「お願いします。それじゃ……」
それで明石はかなりの疲労が溜まっていたのだろうフラフラと体を揺らしながらも仮眠室へと入っていった。
それを見送った夕張はすぐに執務室へと向かう事にした。
「(頑張ったわね、明石……)」
夕張は素直に明石の努力を誉めていた。
完璧な薬を作ると決めてからの明石の頑張りはずっと近くで見続けていた夕張だからこそ、その成果を褒められるのだ。
そんな感じで夕張は執務室へと到着して、
「提督ー。いますかー?」
『夕張か。入っていいぞ』
「はい。それじゃ夕張入りまーす!」
元気
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