第一章
[2]次話
卵焼きも
住之江満月の好物は月見うどんや月見団子、それに目玉焼きと月を思わせるものが多い。それでだった。
彼はこの日の昼の給食の目玉焼きに大喜びしていた、そのうえで言うのだった。
「やっぱり目玉焼きっていいよね」
「御前目玉焼き好きだからな」
「それも大好きだよな」
「毎朝食べてるって?」
「それ本当?」
「うん、大体ね」
満月は友人達に笑顔で答えた。
「朝は目玉焼きだね」
「やっぱりそうか」
「月だしな、満月って」
「だからだよな」
「目玉焼きって月だしな」
「形がそのまま満月」
「だからか」
「そうなんだ、もうおうどんとかお蕎麦とかラーメンもね」
麺類もというのだ。
「何といってもね」
「月見か」
「それが一番か」
「そうなんだな」
「僕的にはね、スパゲティも卵が乗ってると嬉しいし」
つまり満月の形ならというのだ。
「とにかく僕はね」
「満月なんだな」
「卵は月見」
「それがいいんだな」
「そうだよ、月見が一番だよ」
その満月そのものの顔で言うのだった。
「僕はね」
「それで今もか」
「目玉焼きなんで大喜びなんだな」
「うん、今から食べるよ」
満面の笑顔でだった、満月はその大好物の目玉焼きを食べるのだった。そして午後も頑張るのだった。
だがその彼にだ、ある日クラスメイト達はふと尋ねたのだった。
「御前卵焼きは好きか?」
「そっちはどうなんだ?」
「毎朝みたいに目玉焼き食ってるそうだけれど」
「卵焼きはどうなんだよ」
「あと卵とじうどんとかは」
「ああ、そっちはね」
いささかトーンを落とした感じになってだった、満月は友人達の今の問いに答えた。
「食べない訳じゃないよ」
「そうなんだな」
「卵焼きも食べるんだな」
「あと卵とじうどんとかも」
「食べるし嫌いじゃないけれど」
それでもとだ、満月はクラスメイト達にいささかトーンを落とした調子のまま答えた。
「積極的にはかな」
「食べないんだな」
「目玉焼きみたいに」
「そうはしないのね」
「特に」
「うん、僕はやっぱりね」
何といってもというのだ。
「目玉焼きとか月見だよ」
「そっちか、満月は」
「卵料理でもか」
「卵焼きは嫌いじゃないにしても」
「積極的には食わないんだな」
「どうもね、味は嫌いじゃなくても」
それでもというのだ。
「目玉焼きの方がずっとだよ」
「それじゃあね」
女子のクラスメイトの一人が満月にさらに聞いた。
「ボランティアで卵料理作る機会とかあったら」
「その時はだね」
「やっぱり作るのは目玉焼き?」
「僕の好きにしていいって言われたらそうなるかな」
実際にとだ、満月はその女子に答えた。
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