215部分:第十六話 不穏なことその七
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第十六話 不穏なことその七
紅茶を飲み終えたところでだ。真理は義正にこう言ってきた。
「それでは」
「はい、これからですね」
「夜を召し上がりに行きましょう」
笑顔で義正に話すのだった。
「そうしましょう」
「そうですね。今から」
「夕食はです」
その夜の食事は何か。真理はこのことも話した、
「シチューです」
「シチューですか」
「ビーフシチュー。それにサラダと」
「そしてですね」
「はい。鶏肉のソテーです」
メインはそれだというのだ。
「デザートは果物です」
「それに加えてですね」
「夜です」
時はだ。それだというのだ。
「では今から」
「はい、召し上がりましょう」
こうした話をしてであった。二人は夕食のテーブルに向かう。そしてそこれでだ。夜も食べるのだった。その味も楽しむのだった。
二人は幸せな時を過ごしていた。それは長く続くと思われた。
だが不意にだ。真理は。
急に熱が出て寝込むのだった。その枕元で。
義正は心配する顔でだ。彼女に話した。
「風邪ですか」
「どうやら」
白いベッドの中でだ。真理は夫に答えた。
「そうみたいです」
「風邪ですか。よくありませんね」
「全くです。ですが」
「ですが?」
「暫く寝ていれば」
それでいいというのだ。
「風邪は。休めば治りますから」
「そうですね。風邪は」
「はい、何ともありません」
こうも言う彼女だった。
「ですから。心配されないで下さい」
「そうですか」
「今日は寝ています」
また言う真理だった。
「では安心して」
「行って参ります」
仕事に行くというのだった。こうしてだ。
義正は佐藤の運転する車で仕事場に向かった。真理は婆やと二人になった。その中でだ。
婆やがだ。ベッドの中の真理にだ。心配する顔でこう言ってきたのだ。
「今日はくれぐれもです」
「静かにですね」
「はい、よく休まれて下さい」
こう彼女に言うのである。
「くれぐれも。無理はされないで下さい」
「そんなに辛くはないですが」
「いえ」
「いえ?」
「風邪はそう思っては駄目なのです」
心から心配する顔で彼女に言う。
「そこから悪くなるのです」
「油断したらですか」
「はい、そして」
「そして?」
「風邪は万病の元です」
よく言われていることをだ。婆やも言うのだった。
「そこからあらゆる病気がはじまります」
「体力が落ちているからですね」
「そうです。それに近頃」
婆やはさらに言う。真理のことを。
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