CAST6
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食堂の席は既に二つ埋っていた。
円卓の上座に真夜さん、右の第二席に司波深雪。
そして残りの席は四つ。
「皆さんお座りになって」
真夜さんの声に黒羽姉弟は真夜さんの左に文弥、黒羽亜夜子の順で座った。
「達也さん、貴方も座りなさい」
達也がいぶかしみながら司波深雪の隣に座り、俺は残った席…真夜さんの正面に座った。
「さて、ここに集まって貰ったのは友好を深める為です。
直ぐに料理が運ばれて来ますからごゆっくり」
既視感を感じるセリフを言って真夜さんは席を離れた。
友好を深める……それってつまり…
「俺の取り込み工作?」
そう考えるのは俺の傲りだろうか?
「白夜、深も蓋もない事を言うな。
『友好を深める』だけだ」
「そーなのかー…」
直ぐに料理が運ばれて来た。
なんというか…
「なぁ、客人に対していきなりテーブルマナーのテストってどう思うよ?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
全員黙っちまったよ…
「いや、まぁ、家で仕込まれてるからいいんだけどね?」
「家?白夜ちゃんはやはり千葉家の者なのですか?」
「ああ、妾の子だがな」
とは言え母さんと正妻(修兄達のお母さん)との仲は悪くない。
「だけど面白い事に門下生の評判は俺と姉さんの方が厚いと来てる…
まぁ、人間は誰から生まれたかじゃねぇ、何を見せ何を成したかだ」
「白夜は何をしたの?」
文弥の問かけに応える。
「真面目に剣術に打ち込んだり…あとは…そうだな…
門下生のCADの調整をしてやったりとかだな」
「CADの調整が出来るのですか?」
「できるよ、ハードよりソフトが得意だけどね」
CADのソフトは結局プログラムだ。
ならば"ありとあらゆる文字を読む程度の能力"でどうとでもなる。
「多分だけど…アンタの兄さんにもCADソフトの才能があるぜ…そうだろ相棒?」
「まぁ…な」
食事をしながらの世間話。
その途中である話題が出た。
「白夜さん、よろしいですか?」
「ん?」
「貴方の…白夜さんの目標は何ですか?
家に認められる事ですか?」
目標…夢…
細かいのから大きいのまでたくさんあるけど…
一番はアレだ…
話してみる価値は有るかな…
「なぁ、皆。おれの夢を聞いてくれるか?」
皆はコクンとうなずいた。
「今から話すのは"夢"だ。叶うかどうかわからない…いや、十中八九叶わない夢だ。
それに今の俺の立場だと国家反逆罪に問われかねん…」
「そんなにマズイのか?」
「多分な…」
俺の夢…それは…
「俺は国を作りたい。」
「国だと?」
「あぁ、国だ。
機械と魔法師だけが住む国を。
魔法師だけの楽園を…」
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