8時間目
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変わる。
「”あいつに手を出すな”それがこの手紙からの主の忠告だ」
そう言って手に持った手紙をひらひらと見せつける。
「その手紙は誰からのものですか?」
「答える義理はない」
「……なぜ、と聞いてよいかの?」
「さあな、あいつの考えることは昔からよくわからん、ただ手を出したが最後悲惨な運命をたどることは確かだ」
そう断言する彼女の言葉には何か、必ずそうなると確信しているかのような思いが見て取れた。
普通の人間ならいざ知らず、闇の福音と恐れられた彼女が言うのだからそれは相当のことだろう。
「ふむ……、ならこのまま彼女を無視していくのがよいのかの?」
「それが最善だな、幸いにもアヤツは麻帆良学園にも魔法使いにも興味はないらしいし、四年まてば勝手に解決するだろう、……じゃあな」
「ああ、ちょっと待ってくれないかい?」
そう締めくくり、この場を去ろうとするエヴァンジェリンを高畑先生が呼び止める。
「なんだ、言いたいことは言ったからもう帰るが」
「最後に一つ、彼女が言った『魔法使い』とはどういう意味かわかるかい?」
魔法使いとはこちらでは単に魔法を使える人間という意味でしかない。
麻帆良での分類を細かく言えば、魔法を使える先生を魔法先生、魔法を使える生徒を魔法生徒と呼んでいるくらいだから、あまり重要な言葉ではない。
立派な魔法使いくらいになるとそれは重要な意味を持つが、今はそれに触れないでおこう。
「……私も今朝思い出したばかりだが、昔そういう奴らがいたな」
「それは我々とどう違うのでしょう」
一人の魔法生徒が問う。
「貴様らとの違いは簡単だ、貴様らは人間の魔法使い、あいつは魔法使いの魔法使いだ」
「? ですからそれは我々と一緒なのでは?」
「いいや全然違う、あれは人間を止め魔法使いという種族に転化した人外どもだからな」
その言葉に皆が愕然とする。
通常魔法使いになるのに人間を止めるといった事柄は含まれない。才能さえあれば教えを乞うことによって多くの人間が魔法使いになれているのだからその必要などないともいえる。
「そ、そんな非人道的なことがあり得るのですか!?」
「ああ、今ではすっかり廃れた手法だがな」
あくまでも通常では、だが。
「アヤツらは人間の時よりも膨大な魔力を有し、さらには魔法を手足のように行使してくる、半人前と言っていたからまだそこまでではないかもしれんが、少なくとも並大抵の魔法使いどもでは手足もでんだろうな」
それほどまでに人間と魔法使いという種族の間には埋めようのない差がある、と彼女は言外に言っていた。
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