第5章:幽世と魔導師
第143話「利根川の龍神と…」
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う?」
「っ……分かるんですか」
「これでも観察眼はある方でね」
そう。彼女が話したのは飽くまで“経緯”のみ。
詳しい事情は一切話していなかった。
「同行していた人物についてや、東に向かっていた理由。そして、君が霊術を扱える訳。パッと思いつくだけでもこれだけある」
「………」
「まぁ、秘匿しておくべき事情があるのだろう。でも、それは僕の方も同じだ。……だから、ここからは等価交換だ。こちら側の事情や状況を話すから、そっちも話してくれないか?」
「……そう、ですね…。今は、どんな情報もあった方がいいですから…」
そういって、彼女は僕を見た。
……いや、違う。彼女が見ているのは、僕であって僕じゃない…?
まるで、実体がない“モノ”を見ているかのような…。
「……式姫との、“縁”……」
「っ……」
「……いえ、志導さんが話すのは後でいいです。私から話します」
何も話していないのに、椿たちとの関係を見抜かれた。
……なるほど。さっき“視て”いたのはコレか。
「まず私の事から説明します。……私には“物見の力”と言う、“縁”を探る事ができる能力があります」
「“縁”を……なるほど。さっき呟いたのはそれで…」
合点がいった。しかし、それでも式姫を知っている理由にはならない。
「……その能力と、霊術を知っているのに“慣れていない”と言う事に関係は?」
「……!…いえ、直接は関係ありません」
彼女は、さっきの言葉だけで推測されていた事に少し驚いた。
「……私には、前世の記憶があります。…今で言う、江戸時代を生きていた時の記憶が」
「江戸……そうか、幽世の大門が開いていた時…!」
「知っていたのですね。…いえ、式姫と知り合いならおかしくはありませんね」
「(なるほど…だから式姫とかも知っていたのか)」
これで納得がいった。
霊術を知っているのに“慣れていない”のも、今の体が付いていけていないからだろう。
「……けど、大門を知っていたのならどうして東へ?大門自体は京都にあるはずだけど…」
「……大門は既に見てきました。そこから見えた“縁”を辿って東へ…」
「……東に何かがいる……って事か。それこそ、大門の守護者が…」
相当重要な情報だ。後でクロノに知らせておかないと。
「次に……同行していた人物についてなんだが…」
「……式姫です。名は鞍馬。……鞍馬天狗と言えばわかると思います」
「有名どころだな。現代まで生き延びていたのか…」
「そのようです。京都で暮らしていたようで、偶然会いました」
そこから協力する事にしたって事だろう。
「最後に、襲撃されてはぐ
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