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儚き想い、されど永遠の想い
21部分:第二話 離れない想いその六
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第二話 離れない想いその六

「急に飲みたくなったんだ。いいかな」
「わかりました」
 執事は穏やかな声で彼に答えた。
「では何処かのお店に入りましょう」
「何処がいいかな」
「どうした珈琲が飲みたいでしょうか」
 執事は律儀にそのことも彼に尋ねた。
「どういったものが」
「ミルクが入ったものがいいかな」
 八条は少し考えてからこう述べた。
「それがいいかな」
「ミルクがですか」
「うん。この辺りにそうした珈琲が美味しいお店はあるかな」
「はい、それでしたら」
「あるんだね」
「はい、あります」
 その通りだというのであった。
「ここから少し行った場所にあります」
「ああ、近いんだ」
「私の知っているお店でして」
「じゃあそこに行こうかな」
「わかりました。では案内させてもらいます」
「うん、頼むよ」
 こうしてだった。彼はそのお店に執事と共に向かった。するとそこは。
 欧風のだ。ダークブラウンの洒落た店だった。そこに二人で入るとだ。
「あっ、佐藤君じゃないか」
「ああ、文明ちゃん暫くぶりだね」
「久し振りだね」
 執事にだ。店員達が気さくに声をかけてきたのである。
「元気そうだね」
「忙しかったみたいだね」
「どうだい?調子は」
「はい、いいですよ」
 彼等に対してもだ。丁寧に返す彼だった。
「とても」
「そうかい。それじゃあね」
「今日は珈琲かい?」
「それとも紅茶かい?」
「珈琲を御願いします」
 それをだというのである。
「そしてです」
「ああ、そっちの背の高い方にもだね」
「何か凄い男前の方だけれど」
「その人って一体?」
「ひょっとして佐藤君の」
「はい、旦那様です」
 そうだとだ。丁寧な口調で答える彼だった。
「私がお仕えしている旦那様です」
「ああ、じゃあ八条家の」
「あの若旦那様かい」
「三男さんだね」
「その方なんだ」
「はい、そうです」
 また述べる佐藤だった。まさにそうだというのだ。
「それでなのですが」
「ああ、そうだね」
 カウンターにいるだ。口髭を生やした若い男が言ってきた。白いブラウスに黒いズボン、それに青いベストという姿である。髪はポマードで後ろに撫でつけている。
 その彼がだ。佐藤に対して述べるのだった。
「そちらの方にもだね」
「御願いできますか?」
「勿論だよ。お客さんなら誰でもね」
「歓迎してくれますか」
「勿論だよ。それじゃあ」
 ここでだ。そのカウンターの男はだ。こう言うのであった。
「珈琲は何がいいかな」
「旦那様は何がいいですか?」
 佐藤はここで義正に顔を向けて尋ねた。二人はまだ店の中で立っている。そのうえでだ。二人で話をしているのである。
「珈琲は」
「そうだね。
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