第四章
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壁は消えた、それで二人もこれには驚いて話した。
「狐かな」
「狸かしら」
「僕達化かされたのかな」
「そうかしら」
「ううん、何かこうした話ってね」
「聞くけれど」
二人共大学は八条大学でそこで知り合って結婚している、尚香菜の夫の出身も八条大学である。この大学がある八条学園は怪談の宝庫なのだ。
「それでもね」
「まさかね」
「うちの団地にもあるのかしら」
「怪談が」
二人共首を傾げさせながら言ってだ、そしてだった。
とりあえず寒いのでまずは家に帰って二人で風呂に入って寝た、二人はいつも夫婦で一緒に風呂に入るのだ。
そして翌日だ、今度は詩織が香菜の家に行って彼女に話した。昨夜のその話を。そのうえで香菜に対して言うのだった。
「まさかね」
「壁が消えるなんて」
「思わなかったでしょ」
「妖怪ですか?」
香菜もこう言った、思わず。
「ひょっとして」
「ううん、どうかしら」
「私ずっと大阪に住んでますけれど」
「大阪にもこうしたお話多いの?」
「ない訳じゃないです」
香菜は詩織にこう答えた。
「大阪にも」
「そうよね、それで八条グループは」
「妖怪とかのお話がですよね」
「八条学園にも多くて」
八条グループが経営している学園の話もした。
「何かグループ全体でね」
「妖怪のお話が多くて」
「そういうのに縁があるみたいで」
「この団地にもですか」
「あるのかしら、それでね」
「壁がですか」
「夜に出るのかしら」
詩織は考える顔になって香菜に述べた。
「そうかしら」
「妖怪がこの団地の敷地内にいるんですね」
「そうかも知れないわね」
「じゃあその妖怪は何でしょうか」
香菜は具体的に考えた、その壁が妖怪としたら何者なのか。
「一体」
「ううんと、多分ね」
「多分?」
「塗り壁ね」
この妖怪だとだ、詩織は香菜に答えた。
「今これかしらって思ったけれど」
「塗り壁ってあれですよね」
この妖怪の名前を聞いてだ、香菜も言うのだった。二人共香菜が出したお茶と煎餅を出しながら話をしている。詩織の家の紅茶とクッキーとはまた違っていた。
「道に出て来てそうして」
「人が行くのを邪魔するね」
「その妖怪ですよね」
「ええ、漫画にも出て来たでしょ」
「あのゲゲゲのに」
「あの漫画にも出て来た妖怪でね」
それでと言うのだった。
「この団地にもいるのかもね」
「そうだったんですね」
「だとしたらね」
ここでまた言った詩織だった。
「どうすればいいかもわかってるわ」
「塗り壁が道を塞いでいたら」
「その場合はね」
「やり方があるんですか」
「ええ、ちゃんとね」
詩織は香菜に煎餅を食べつつ答えた、ボリボリと食べる音もする。
「あるから」
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