第六章
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「だからね」
「枢機卿猊下の」
「僕のことはバチカンでも殆ど知られていない」
「はい、枢機卿猊下のことは」
「限られた人でもないと」
それこそというのだ。
「知らないね」
「バチカンでも秘密の人員ですから」
「鮮血の枢機卿だったね、僕の仇名は」
「猊下をご存知の方々の言われていることですね」
「神罰を与える者に授けられる名前」
十字は表情を変えないまま言っていく。
「その名前としてはね」
「いいというのですね」
「いい名前だよ」
十字はその名前を受け入れていた、そのうえでの言葉だった。
「実にね」
「そう言われますか」
「僕はね、では」
「またお言葉があれば」
「出るよ」
こう神父に答えた。
「神罰を与えるべき輩のいる場所にね」
「それでは」
「うん、そしてね」
さらに話す十字だった。
「今回、色々と情報をくれてサポートもしてくれた」
「大阪の教会の方にはですね」
「深い感謝の念を持っているよ」
十字にしてもというのだ。
「同じ神の僕としてね」
「闇金の組織を殲滅した時もですね」
「あちらの携帯の電波を妨害してくれたしね」
「そうでしたね」
「装置を使ってね」
電波を妨害するそうしたものをだ。
「そうしてくれたからね、僕の移動も車で助けてくれたし」
「だからですね」
「あの人には感謝しているよ」
「左様ですね」
「うん、それで後は」
「悪霊となった者達をですね」
「除霊してもらうことになるけれど」
このことについても話す十字だった。
「それはね」
「はい、それは悪霊となった彼等が世の人達に見られ」
「そうしてね」
「その人達が除霊を頼み」
「そうして行われることになるよ」
「そうなりますね」
「うん、ただね」
十字は神父に淡々とした口調のまま述べた。
「彼等に怨念や憎悪の念はないからね」
「恐怖と苦痛、絶望ですね」
「その念は非常に強いけれど」
それでもと言うのだった。
「除霊する人達には向かわないから」
「除霊自体は難しくない」
「祓えばいいだけだから」
悪霊の攻撃に備える必要はないというのだ。
「だから楽な筈だよ」
「そして悪霊達は神の御前に向かわさせられて」
「最後の審判の時に地獄に落ちるよ」
「そうなりますね」
「全ては神の思し召しのままだよ」
十字は静かに言った、キリスト教の考えのままに。そして実際にだった。
後に彼が大阪で神罰を与えた者達の悪霊と化した魂はそれを感じ取った人々が除霊を出来る者達にそれを頼み込んだ、そうして彼等は祓われたのだが。
除霊をした者達は恐ろしい経験をした顔で口々に話した。
「あれ程強烈な悪霊はいませんでした」
「絶望と苦痛、恐怖に心を支配された悪霊達は」
「
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