第二章
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その彼女達にだ、茶太郎は笑顔で言うのだった。
「まずは先入観を捨てて下さい」
「先入観を?」
「そうしろっていうの?」
「まずは」
「それからなの」
「はい」
いつもの上品な笑顔での言葉だった、同じ天下茶屋生まれでもマスコミの依怙贔屓でいい気になっている知能も人格も教養も品性も全く感じられない某ボクサーの一家とは全く違う。生き方の違いがそこに出ていた。
「そこをお願いします」
「先入観を捨てろ」
「そうしろっていうの」
「ここは」
「それからなの」
「そのことを約束してくれますか?」
こう軽音楽部の部員達に言うのだった。
「ここは」
「ええ、じゃあ」
「茶太郎君が言ってくれるなら」
「それならね」
「そうさせてもらうわ」
「そうですか、それではです」
部員達の言葉を聞いてだ、そのうえで。
茶太郎は軽音楽部の部員達顧問の先生も部長も含めてだった。まずは自分が淹れた紅茶を差し出した。
そしてだ、その紅茶を飲んでもらって言うのだった。
「どうでしょうか」
「ええ、美味しいわ」
「やっぱりこれよね」
「紅茶よ」
まず紅茶派の娘達が言った。
「これでしょ」
「何といっても」
「流石茶太郎君わかってるわね」
「紅茶しかないって」
「他に何があるの?」
「これしかないじゃない」
紅茶派の面々は口々に言う、しかしだった。
茶太郎は彼女達には何も言わず今度はだった、軽音楽部の面々に口をうがいで奇麗にしてもらってからだった。
コーヒーを出した、すると今度はコーヒー派の面々が言った。
「コーヒーよね」
「やっぱりね」
「コーヒー美味しいわね」
先程の紅茶派の娘達と同じ笑顔で言うのだった。
「これしかないでしょ」
「やっぱりコーヒーよ」
「コーヒーにしましょう」
「茶太郎君もコーヒーよね」
「これでいくべきでしょ」
「そうですね、コーヒーを出して」
茶太郎はコーヒー派の娘達だけでなくだった、紅茶派も含めた軽音楽部の面々全員に言うのだった。
「そして紅茶もです」
「あれっ、両方?」
「両方出すの?」
「そうするの?」
「両方なの」
「両方出すの」
「皆さんはどちらがまずいと思われました?」
茶太郎は彼女達に問うた。
「紅茶とコーヒーのどちらが」
「いた、まずいっていうと」
「そう聞かれるとね」
「別にね」
「どっちもまずくないわよ」
「両方飲んでみたけれど」
「そうしてみたから言えるけれど」
部員の娘達は茶太郎に口々に答えた。
「それでもね」
「別にね」
「それぞれの味は違うけれど」
「まずいかっていうと」
「どっちも美味しいわ」
「これでお菓子があったら」
「もうどっちも最高に合いそうね」
「そうです、紅茶も
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